カシミール紛争

カシミール紛争

カシミール紛争は、インド、パキスタン、中国の三カ国が領有権を巡って対立している、非常に複雑で長期にわたる地域紛争です。歴史的には、カシミール地域は多彩な民族と文化が共存する場所であり、その背景にはさまざまな国際的な要因が絡んでいます。

概要

カシミール地方の領有権をめぐる争いは、主にインド、パキスタン、中国の間で繰り広げられています。インドは、かつてのジャンムー・カシミール藩王国の全域を自国の領土と主張しており、現在はジャンムー、ラダック、及びシアチェン氷河を占有しています。反対に、パキスタンは中国の支配地域を除く全域をその領土と見なしています。加えて、中国はアクサイチンと呼ばれる地域を支配しており、1963年にはカラコルム回廊も手に入れました。インドとパキスタンの間で1947年、1965年、1971年に発生した三度の印パ戦争や、中国との中印国境紛争がこの地域の歴史に大きな影響を与えています。

紛争の背景

1947年、イギリスがインド帝国の独立を認めたことにより、インドとパキスタンという二つの国家が誕生しました。その際、インド国内には565の藩王国が存在し、それぞれがどちらの国に帰属するかを決定しなければなりませんでした。特に、新国家クーデターの影響を受けたジャンムー・カシミール藩王国は、ムスリムが大半を占めていたため、その帰属を巡って激しい対立が始まりました。

藩王ハリ・シングは、インドに向けた帰属を決定する前に、カシミール地方を巡るパターン族の侵攻を受けました。彼はインドの助けを求め、その結果としてインド軍がジャンムー・カシミールに進駐することになります。この時点で、インドとの帰属協定が結ばれたことで、紛争は一層の激化が見込まれることになりました。

戦争と緊張の各期

最初の印パ戦争は、パキスタンが北カシミール地方に進攻したことから始まります。この侵攻は、藩王がインドへの参加を決定しようとしているとの噂が広まったためです。藩王と首相はインド政府に事態介入を求めるも、インド政府は関与の意思を示さなかったため、事態は混乱に陥りました。

その後も印パ間の緊張は続き、特に1989年からのジャンムー・カシミール州内での武装闘争は多くの犠牲者を出しました。そして、2014年にナレンドラ・モディ首相が就任すると、彼の強硬路線により紛争が一層過熱しました。2019年にはカシミールへの越境空爆が行われ、両国の軍による交戦も発生しました。さらに、同年8月5日にはインド政府が憲法第370条を廃止し、これに伴ってカシミール州の特別自治権を撤回しました。この動きは、州内での大規模な抗議活動や治安部隊との衝突を引き起こし、大きな人権問題につながっています。

現在の状況

最終的に、ジャンムー・カシミール州は2019年10月31日に廃止され、ラダック連邦直轄領とジャンムー・カシミール連邦直轄領に再編されるという事態に至ります。この複雑な議題は、単なる領土問題だけでなく、民族や宗教、歴史的背景、さらには国際関係にも深く繋がっています。カシミール紛争は、今後も地域の安定において重要な課題として残り続けるでしょう。

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