アクサイチン

アクサイチンは、中国、インド、パキスタンの国境が交差するカシミール地方に位置する、約37,244平方キロメートルの広大な係争地域です。これは日本の九州ほどの面積に相当します。

この地域は、1962年の中印国境紛争の結果、中国によって実効支配されていますが、インドは現在もその領有権を主張し続けています。インド側では、この地域をラダックの一部と認識しています。

アクサイチンという名称は、テュルク語の音訳に由来します。歴史的には、東トルキスタン（現在の新疆ウイグル自治区）とインドを結ぶ重要な交通路として機能し、ウイグル族のメッカ巡礼の際にも利用されていました。

現在、アクサイチンは中国の行政区分上、大部分が新疆ウイグル自治区ホータン地区に、一部がチベット自治区ガリ地区に属しています。インド政府はアクサイチンに対する主権を主張しており、アルナーチャル・プラデーシュ州と共に、両国間の政治的対立の大きな要因となっています。

19世紀には、インド北西部と中国の境界線に関して、1865年にジョンソン線、1899年にマカートニー・マクドナルド線が提案されました。1950年代には、中国政府がアクサイチン盆地を横断する新疆とチベットを結ぶ新蔵公路を建設しましたが、当時インド政府はアクサイチンを荒地と認識していたため、建設工事を把握できず、抗議活動を行うことはありませんでした。

アクサイチンは、チベット高原北西部に位置し、ホータンの南にある崑崙山脈とカラコルム山脈に挟まれた盆地です。南東部にはアクサイチン湖、薩利吉勒湖、騰格湖などの塩湖が点在し、北西部にはカラカシュ川がタリム[[盆地]]へと流れています。盆地の標高は4,000メートルを超え、山岳地帯では6,000メートルを超える場所もあります。

気候は高山性で、康西瓦では年間平均気温が-0.6℃、最も暖かい7月でも平均9.8℃と非常に寒冷です。年間を通して降霜日は355日にも及びます。また、南西からの季節風はヒマラヤ山脈によって遮られるため、年間降水量は100ミリメートル未満と非常に乾燥しています。最近の調査では、良質な雲母や様々なレアメタルの埋蔵も確認されています。

アクサイチンは、歴史的、地理的、政治的に複雑な背景を持つ地域であり、その領有権を巡る問題は現在も両国間の緊張を高める要因となっています。

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