カシモビアン

カシモビアンの時代

カシモビアン（英: Kasimovian）は、国際層序委員会により規定された地質学用語の一つで、約3億700万年前から3億370万年前に当たる、石炭紀ペンシルバニアン亜紀の後期に位置づけられる時期を指します。この時代は、後期石炭紀の中期であるモスコビアンに続き、また次の後期グゼリアンに先立つ前期の期間として定義されています。カシモビアンの模式地は、ロシアのモスクワ盆地に所在しています。

環境と生物の変化

カシモビアンの時代には、環境の変化が顕著に見られました。特に後期石炭紀前期ペンシルバニアン亜紀のバシキーリアンから中期ペンシルバニアン亜紀前期で繁栄していた造礁生物群、たとえば海綿綱の一つであるchaetetidsは、後期モスコビアンにおいて急速に衰退しました。この影響を受けて、カシモビアンではこの生物が確認されないことが多くなりました。

一方で、高緯度地域に生息していた石灰藻類のPalaeoaplysinaは繁栄の兆しを見せ、このことは当時の地球全体の寒冷化進行を示唆しています。加えて、造礁生物群集もこの環境の変化に伴い変化を余儀なくされていたことが観察されます。かつての熱帯環境が寒冷化していく中で、生物の多様性も変化していったのです。

この寒冷化は、ゴンドワナ大陸上の氷床の拡大とも関係しており、特に当時の日本の山口県の地層にもその影響が見て取れます。秋吉海山があったとされるパンサラッサ海は、パンゲア大陸の低緯度地域からの影響を遅れて受けたことが推測されており、寒冷化の影響が石灰岩の層にも記録されています。具体的には、秋吉石灰岩では後期カシモビアンにおいて海水準が低下していることが確認されています。

日本におけるカシモビアンの研究

日本では、特に山口県美祢市に存在する秋吉帯の石灰岩においてカシモビアンの研究が行われています。研究によると、秋吉帯の石灰岩は黒褐色の方解石結晶や生物遺骸片を含む灰白色石灰岩で、具体的には「山口更紗」と「黒龍」という銘柄があります。分析の結果、山口更紗は中期から後期カシモビアンに位置することが見積もられ、一方で黒龍は後期カシモビアンの前期と推察されています。これらの研究は、当時の生態系や地球の環境変化を理解する手助けとなる貴重な資料となっています。

まとめ

カシモビアンの時代は、石炭紀の重要な時期であり、地球の環境変化や生物多様性の変遷が顕著に表れた期間です。この時代に生息していた生物たちは、寒冷化の影響を受けて大きな変化を遂げたことが知られています。また、日本においてもこの時代の地層が研究され、古環境の理解が深まっています。

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