カスケード地震
カスケード地震とは
[1700年]]1月26日、太平洋岸北西部を震源とする巨大地震が発生しました。この地震は「カスケード地震」と呼ばれ、カスケード沈み込み帯で発生したプレート間地震です。推定されるモーメントマグニチュード]は8.7から9.2と非常に大きく、[[カナダのバンクーバー島からアメリカのカリフォルニア州北部にかけて、約1000キロメートルに及ぶ断層が破壊されました。
この地震によって、日本沿岸にも津波が到達したことが記録されています。また、地震の揺れにより、ブーンビル地滑りが発生した可能性も指摘されています。
地震発生の証拠
1980年代後半から行われた考古学的調査によって、過去に発生した地震の痕跡が発見されました。海岸付近の地層からは、地震による海岸の沈降を示す地層や、津波によって堆積したとみられる堆積物が確認されています。これらの調査から、過去7000年間に13回もの地震が発生したことが明らかになりました。さらに、土壌中の植物の放射性炭素年代測定により、最新の地震は約300年前のものであることが判明しました。また、立ち枯れた木の年輪から、地震発生時期が1699年秋から1700年春の間と特定されています。
地震発生の正確な日時を特定する上で重要な役割を果たしたのが、日本に残された津波の記録です。当時の太平洋岸北西部には地震に関する文献記録は残っていませんでしたが、日本の記録から、1700年1月26日午後9時頃に地震が発生したことが判明しました。沿岸部の森林が潮間帯へ沈下したことで枯死したベイスギの年輪は、津波発生前の最後の成長期である1699年に形成されたものでした。これらの証拠は、地質学者のブライアン・アトウォーター氏らによって2005年に出版された「みなしご元禄津波」にまとめられています。
将来の脅威
カスケード沈み込み帯では、過去1万年間に19回ものMw9規模の巨大地震が発生しており、平均すると約500年周期で起こっていることが地質学的記録からわかっています。過去の地震発生間隔は最短で300年、最長で900年、平均では590年程度です。過去に発生した地震は、1310年、810年、400年、紀元前170年、紀元前600年頃と推定されています。しかし、近年の考古学的調査では、過去1万年間に41回の地震が確認され、平均間隔は約240年とされています。
カスケード沈み込み帯の地震は、2004年のスマトラ島沖地震や東北地方太平洋沖地震のように、大規模な津波を伴う可能性があります。そのため、太平洋岸北西部の沿岸地域では、将来発生する可能性のあるカスケード地震に備え、津波からの避難計画を策定しています。シアトル、ポートランド、バンクーバーなどの大都市は、内陸水路に位置しているため津波の直撃は免れると考えられていますが、これらの都市には耐震性の低い建物も多く、地震の揺れによる建物倒壊などの被害が懸念されています。専門家の中には、シアトルの建物が、想定されるカスケード地震はおろか、過去のサンフランシスコ地震にも耐えられないほど脆弱であると警告する者もいます。
近年の研究では、カスケード沈み込み帯は以前考えられていたよりも複雑で不安定であることが示唆されています。地質学者は、今後50年以内にMw8.2以上の地震が発生する確率を37％、カスケード沈み込み帯全体が破断するMw9以上の地震が発生する確率を10～15％と予測しています。また、発生する津波の高さは24メートルから30メートルに達する可能性があるとも警告しています。カスケード沈み込み帯は、他の沈み込み帯と比較して地震発生間隔が長いのですが、これはプレートの沈み込み速度が遅いためです。ファンデフカプレートと北アメリカプレートの沈み込み速度は年間約60ミリメートルです。
参考文献・外部リンク
- - 一般
- USGS on the Cascadia earthquake
- 300th anniversary article
- 1700 年カスケード地震による液状化痕跡のジオスライサー掘削 (PDF)
- - ネイティブ・アメリカン及び日本に関するもの
- Native American Legends of Tsunamis in Pacific NW
- Japanese tsunami descriptions
- Science Daily on the Cascadia Earthquake & Japanese evidence
- 日本の津波から推定された1700 年の北米カスケード地震 歴史地震 第20号(2005) 270頁 (PDF)
- - 現在の危険性に関するもの
- Seattle scenario description
- Perilous Situation
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。