ファンデフカプレート

ファンデフカプレートとは

ファンデフカプレートは、北アメリカ大陸の西沖、太平洋に位置する比較的小さな海洋プレートです。このプレートの名前は、近隣のファンデフカ海峡に由来しています。1960年代に詳細な調査が行われ、プレートテクトニクス理論の確立に重要な役割を果たしました。

研究の歴史

1961年、アメリカ西沖の海底調査によって、海底岩石に残る古磁気記録が、一定の間隔で正負反転していることが発見されました。さらに、その縞模様が部分的にずれていることも明らかになり、当時の研究者たちの注目を集めました。これらの縞模様のずれは、プレートテクトニクス理論の発展とともに理解が進みました。ファンデフカプレートは、かつて存在した巨大なファラロンプレートの一部であり、現在では貴重な研究対象となっています。特に、このプレートのずれは、北太平洋と北アメリカ地域におけるプレートの動きを理解する上で重要な手がかりを提供しています。

プレートの歴史と未来

約5000万年前: 古太平洋に広がっていたファラロンプレートから、バンクーバープレートが分離しました。このバンクーバープレートは、北アメリカプレートの下に沈み込みを始めました。
約3000万年前: 太平洋プレートが北アメリカプレートに接近し、バンクーバープレートはファラロンプレートから地理的にも分離しました。この頃、バンクーバープレートはファンデフカプレートと名前を変えました。
約1000万年前から現在: 太平洋プレートとファンデフカプレートの間にある発散境界（海嶺）の向きが約20度傾きました。この傾きによって「見かけの断層」が生じ、古磁気記録が複雑な形になりました。
約1000万年後: ファンデフカプレートは北アメリカプレートの下に完全に沈み込み、消滅すると予測されています。

プレートの地理

ファンデフカプレートは、複数のプレートに囲まれています。東側では、カスケード沈み込み帯を通じて北アメリカプレートの下に沈み込んでいます。北から南にかけては、ファンデフカ海嶺などの拡大境界や、メンドシノ断裂帯などのトランスフォーム断層を介して太平洋プレートと接しています。北側には、ファンデフカプレートと同様に北アメリカプレートに沈み込むエクスプローラプレートがあり、バンクーバーのヌートカ島付近に断層があります。南側には、ファンデフカプレートと太平洋プレートに囲まれた小さなゴルダプレートがあり、そこにも断層が存在します。これらのプレートに囲まれたファンデフカプレートの面積は約250,000平方キロメートルと測定されています。

地震活動

ファンデフカプレートの沈み込みによって形成されたカスケード山脈は、環太平洋火山帯の一部を形成しています。20世紀には、ラッセン山やセント・ヘレンズ山で噴火が起きました。また、カスケーディア沈み込み帯では、過去の津波堆積物や地殻変動の解析から、約500年の間隔で巨大地震が発生していると考えられています。アメリカ大陸に西欧人が到達して以降、この地域での巨大地震の記録は残っていませんが、太平洋を挟んだ日本には、「1700年（元禄12年）の原因不明の津波」に関する記録が残っています。この津波の原因を調査した結果、1700年1月26日にモーメントマグニチュード8.7から9.2と推定される地震が発生し、約1100キロメートルにわたる断層が破壊され、平均20メートルの滑りが生じたと推測されています。

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