カスビのブガンダ歴代国王の墓

カスビのブガンダ歴代国王の墓

カスビのブガンダ歴代国王の墓は、ウガンダのカンパラ県にあるユネスコの世界遺産であり、19世紀後半以降のブガンダ王国の歴代国王たちが最期の眠りについた場所です。この地域は、ガンダ族にとって重要な文化的シンボルとなっており、伝統的な価値観を育んできました。

歴史的背景

この墓所が成立するきっかけは、19世紀半ばにブガンダ王国の王であったムテサ1世によって築かれた宮殿に遡ります。彼は1882年、現在のカンパラからわずか3kmほど北西のカスビの丘に、木材やレンガ、ヨシを用いた茅葺屋根の宮殿を建設しました。ムテサ1世が亡くなった後、その宮殿は彼の墓として利用されることになりました。

ムテサ1世の後を継いだムワンガ2世も同様に、この墓所に葬られました。これは従来の慣習に反する出来事であり、これまでブガンダ王国では一人の王に一つの墓所を与えるのが一般的でした。その後も、キング・ダウディ・クワ2世、そしてウガンダ初代大統領のムテサ2世もこの場所に埋葬されていることから、歴代の王たちがここに集うことになっています。このようにして、カスビの墓所はブガンダ王国の歴史を物語る重要な場となりました。

文化的価値

この墓所は、ブガンダ王国の歴史と文化を象徴する場所であり、周囲には王族の親族の墓も存在しています。その墓域は、樹皮布の原料として使われるイチジク属の木々によって境界が示されています。伝統的なライフスタイルや文化が息づくこの地域では、ガンダ族の人々にとって特別な意味を持つ場所となっています。

世界遺産としての認定

2010年に、カスビの歴代国王の墓所はユネスコの世界遺産に登録されました。登録対象は、カスビの丘の頂上にある旧宮殿を中心とした約27ヘクタールの区域であり、周辺の農業地域も含まれています。しかし、文化遺産としての位置付けは「文化的景観」ではなく、「サイト」として認識されています。

登録基準の中で特に注目すべきは、人類の創造的才能を示す傑作や、現存するまたは消滅した文化的伝統の貴重な証拠、そして重要な時代を示す建築様式との関わりです。また、文化や思想、信仰と繋がりのある出来事が顕著であることからも、その価値を認められています。

危機遺産としての登録

しかし、カスビの歴代国王の墓には課題もありました。2010年3月に発生した火災によって、旧宮殿は焼失しました。その原因は不明ながら、放火の可能性が指摘されています。この火災を受け、世界遺産委員会は2010年の第34回世界遺産委員会において、危機遺産リストへの登録を決定しました。

その後、再建や再発防止の体制が整備され、2023年には危機遺産リストからの除外が実現しました。これにより、カスビの墓所が再び文化的な拠点としての役割を回復することが期待されています。

このように、カスビのブガンダ歴代国王の墓は、歴史的、文化的、そして現代的な意義を持つ場所として、その重要性を今後も保っていくことでしょう。

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