カス郡 (ミシガン州)

ミシガン州ロウアー半島南西部に位置するカス郡は、2010年の国勢調査で約52,300人の人口を有し、穏やかな人口増加を見せています。郡庁所在地はカソポリス村ですが、最大の都市はダワジャック市です。カス郡は、インディアナ州にまたがるサウスベンド・ミシャワカ大都市圏に属し、ミシガン州とインディアナ州を合わせた「ミシアナ」地域の一部としても認識されています。多くの湖沼に恵まれ、釣りやボートなどレクリエーションが盛んな地域です。

カス郡の歴史は1829年に始まります。郡名は当時のミシガン準州知事、ルイス・カスに由来し、彼は後にアメリカ合衆国陸軍長官も務めました。ミシガン州には、当時のジャクソン大統領内閣閣僚の名を冠した郡が多く、カス郡もその一つです。

開拓初期、カス郡は周辺地域と比べて森林が少なく、肥沃なプレーリーが広がっていたため、人口が急速に増加しました。1830年には、ダワジャック・クリーク沿いで製材工場が操業を開始。シカゴ道路（ソーク・トレイル）が郡南部を通っていたものの、初期開拓者は東ミシガンから来たのではなく、オハイオ州やインディアナ州からの移住者が多く、フォートウェインからシカゴ道路の支線を経由して入ってきました。

著名な初期開拓者として、オハイオ州から移住してきたボールドウィン・ジェンキンスとアジール・パットナムが挙げられます。ジェンキンスは奴隷制度を嫌ってテネシー州から移住し、パットナムはマサチューセッツ州とニューヨーク州を経てオハイオ州からやってきました。彼らは1825年にポカゴン・プレーリーにポカゴン村を設立し、翌年にはベアズレーのプレーリーにも開拓地が形成され、1831年にはエドワーズバーグの村が誕生しました。カソポリス村は郡の中央に位置し、1831年に郡庁所在地を目指して設立されました。

1840年以降、カス郡では黒人の人口が急増しました。白人が人種差別法を忌避し、クエーカー教徒が多くいたこと、そして安い土地を求めて黒人たちが移住してきたことが背景にあります。自由黒人や逃亡奴隷にとってカス郡は安全な場所でしたが、この状況は南部奴隷所有者の注意を引き、1847年と1849年には、逃亡奴隷を捕らえるためケンタッキー州からの襲撃がありました。しかし、地元住民の抵抗により、襲撃は失敗に終わりました。この事件は、1850年の逃亡奴隷法成立につながり、南北戦争の一因ともなりました。カス郡は、早期から反奴隷制度を掲げていた地域として知られており、1829年に設立されたペン郡区は、地下鉄道の重要な拠点となりました。

地理的には、カス郡の総面積は約508平方マイルで、その約3%が水域です。主要な道路としては、アメリカ国道12号線、ミシガン州道40号線、51号線、60号線、62号線、152号線、216号線、217号線などが通っています。隣接する郡は、ヴァンビューレン郡、セントジョセフ郡、バーリン郡（ミシガン州）、エルクハート郡、セントジョセフ郡（インディアナ州）です。

カス郡政府は、郡監獄の運営、地方道の維持、裁判所の運営、記録の保管、公衆衛生規制、社会サービスなど、様々な役割を担っています。しかし、警察や消防、建設、税評価などは、個々の都市や郡区の責任です。郡は15の郡区に分割されています。

教育機関としては、公立2年制大学のサウスウェスタン・ミシガン・カレッジが郡内で最大規模の雇用主となっています。図書館は、カス地区図書館、ダワジャック地区図書館、マーセラス郡区図書館、そしてサウスウェスタン・ミシガン・カレッジのフレッド・マシューズ図書館があります。特にカス地区図書館は、4つの支所を擁し、多くの郡区をカバーしています。ダワジャック地区図書館はカス地区図書館との合併を検討しています。

このように、カス郡は自然豊かな環境と、歴史的な背景、そして現代的な社会基盤が調和した地域です。

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