カタルーニャ国民会議
カタルーニャ国民会議（Assemblea Nacional Catalana、略称ANC）は、スペイン国家からの政治的独立と、カタルーニャにおいて民主的な主権国家を樹立することを目指す市民運動組織です。その活動対象は、カタルーニャ州のみならず、歴史的・文化的に結びつきが深く、カタルーニャ語が話されるバレンシア地方やバレアレス諸島を含む、広範なカタルーニャ語圏（Països Catalans）全体の連帯を視野に入れています。
組織は規模が大きく、2015年1月時点で8万人を超える会員を擁していました。そのうち40,132人は年会費を支払う正会員であり、39,946人はボランティア協力者として登録されていました。組織は地域に根差しており、カタルーニャ地方には10の地域支部が存在します。さらに、国際的な活動も展開しており、世界中に37の国別支部を持っています。
ANCの設立の端緒は、2011年4月30日にカタルーニャ州の州都バルセロナで開催された「カタルーニャ国のための国民会議（Conferència Nacional per l'Estat Propi）」に遡ります。約1,500人が参加したこの会議では、恒常的な活動を担う常設委員会と、それを準備するための暫定事務局の設置が決定されました。
そして翌年の2012年3月10日、バルセロナのパラウ・サン・ジョルディにて、市民団体としてカタルーニャ国民会議（ANC）が正式に設立されました。設立総会では、団体の規約や内部組織、そしてカタルーニャの独立に向けた具体的な指針が承認されました。
組織運営の初期段階では、代表選出が進められました。同年4月には、女性のカルマ・フルカデイ氏が初代代表に選出され、カルラス・カステリャーノス氏が副代表、リュレンス・ストゥレス氏が会計、ジョルディ・マルティネス氏が書記にそれぞれ就任しました。フルカデイ氏はその後、2013年6月8日の改選でも代表に再選されています。この時の執行部では、ジャウマ・マルファニー氏が副代表となり、カステリャーノス氏とマルティネス氏は引き続き書記を務め、会計には新たにウリオール・サリャス氏が選出されました。
2015年以降は、ジョルディ・サンチェス氏が組織の代表を務めています。
ANCはカタルーニャの独立運動において、主に大規模な市民動員や啓発キャンペーンを通じて中心的な役割を担っています。
地域支部は、2014年に実施されるカタルーニャ独立住民投票に向けた準備の一環として、各地で独立に関する様々なイベントや集会を定期的に開催しました。
同年6月末には、リェイダ県セウ・ベリャから「独立に向けた行進」を開始しました。この行進は、カタルーニャ州内各地での祝祭的なイベントや象徴的な抗議行動と連動しながら進められました。そして、9月11日の「カタルーニャの日」（ラ・ディアーダ）には、「カタルーニャ、新しいヨーロッパ国家」をスローガンに掲げ、バルセロナで大規模なデモを主催しました。このデモの参加者数については、バルセロナ市警察やスペイン内務省が約150万人、主催者側は約200万人、スペイン政府カタルーニャ局は約60万人と、それぞれ推定値に大きな差が見られました。
デモから2日後の9月13日、当時の代表フルカデイ氏を含むANCのメンバー5人が、カタルーニャ州政府宮殿でアルトゥール・マス州首相と面会し、1時間以上にわたって会談を行いました。ANCは州首相に対し、実質的な国民投票となる選挙の実施を提案し、マス州首相は2014年中の住民投票開催を約束しました。
その後、マス州首相がスペイン首相マリアーノ・ラホイ氏と会談しましたが、カタルーニャの財政協定案を巡る意見の対立から交渉は決裂しました。これにより、カタルーニャ州政府を率いる集中と統一（CiU）は、スペイン国民党（PP）からの協力を失い、州議会内で少数派に転落しました。ラホイ氏との会談後、マス州首相は任期を2年以上残して議会を解散し、11月25日に総選挙を実施することを発表しました。州議会の一般政策論議での開会演説において、マス州首相はこの選挙がカタルーニャの自己決定権行使の使命を帯びているとの認識を示しました。
2013年初頭、ANCは市民や企業、地方自治体に対し、州独自の税務当局であるカタルーニャ国税庁への納税を推奨する「財政主権」キャンペーンを開始しました。また、5月から7月にかけては、独立支持派の様々な政党を支援するためのクラウドファンディングを実施しました。6月1日には、住民投票実現に向けたあらゆる可能性を探るため、市民が直接政府に意思を伝える「嘆願する権利」を行使し、「独立のための署名」キャンペーンを開始しました。
同年6月29日、ANCは独立文化団体オムニウム・クルトゥラルと共同で、独立支持者の大きなコミュニティの存在を示すため、FCバルセロナの本拠地カンプ・ノウで大規模な「自由のためのコンサート」を主催しました。このコンサートには約9万人が集まり、リュイス・リャッチ氏をはじめとする多くの著名なカタルーニャ人アーティストが出演しました。
そして9月11日には、歴史的な大規模デモ「カタルーニャ独立への道」を開催しました。これは1989年にバルト三国がソビエト連邦からの独立を目指して形成した「バルトの道」（人間の鎖）を模倣したもので、北カタルーニャのラ・ジュンケラから南端のタラゴナ県アルカナーまで、約400キロメートルにわたるアウグスタ街道沿いに、独立支持者たちが手をつないで人間の鎖を形成しました。この強烈な意思表示を受け、マス州首相は再びフルカデイ代表を官邸に招き、人々の意思に耳を傾け、地域の将来に関する協議を組織することを約束しました。
2014年5月29日、ANCは他の市民団体と共に、バルセロナのアル・ボルン地区で「我々が望む国」（El País que Volem）キャンペーンを開始しました。これは、独立国家となったカタルーニャがどのような国であるべきかについて、市民の意見を広く集めることを目的とした参加型の取り組みでした。
同年9月11日には、ANCとオムニウム・クルトゥラルが再びバルセロナで大規模デモ「カタルーニャの道2014」を組織しました。このデモは、2か月後に予定されていた住民投票での独立支持を示すためのものでした。バルセロナ市内のグラン・ビアとディアグナル通りの交差を利用し、全長11キロメートルに及ぶ巨大な「V」の字の人文字を形成しました。この「V」は、「勝利」（Victòria）、「投票」（Votar）、「意思」（Voluntat）などの言葉を表していました。参加者数については、バルセロナ市警察が180万人、主催者側は250万人と推定しました。
9月14日、ANCは「独立のための署名」キャンペーンで集めた75万人分もの署名（234箱）を、カタルーニャ州議会のヌリア・ダ・ヒスペルト議長に提出しました。これは、もし11月9日の住民投票が実施できなかった場合、州政府に対し独立を宣言するよう求めるものでした。
2012年-2015年：カルマ・フルカデイ
2015年-現在：ジョルディ・サンチェス
組織は規模が大きく、2015年1月時点で8万人を超える会員を擁していました。そのうち40,132人は年会費を支払う正会員であり、39,946人はボランティア協力者として登録されていました。組織は地域に根差しており、カタルーニャ地方には10の地域支部が存在します。さらに、国際的な活動も展開しており、世界中に37の国別支部を持っています。
歴史
ANCの設立の端緒は、2011年4月30日にカタルーニャ州の州都バルセロナで開催された「カタルーニャ国のための国民会議（Conferència Nacional per l'Estat Propi）」に遡ります。約1,500人が参加したこの会議では、恒常的な活動を担う常設委員会と、それを準備するための暫定事務局の設置が決定されました。
そして翌年の2012年3月10日、バルセロナのパラウ・サン・ジョルディにて、市民団体としてカタルーニャ国民会議（ANC）が正式に設立されました。設立総会では、団体の規約や内部組織、そしてカタルーニャの独立に向けた具体的な指針が承認されました。
組織運営の初期段階では、代表選出が進められました。同年4月には、女性のカルマ・フルカデイ氏が初代代表に選出され、カルラス・カステリャーノス氏が副代表、リュレンス・ストゥレス氏が会計、ジョルディ・マルティネス氏が書記にそれぞれ就任しました。フルカデイ氏はその後、2013年6月8日の改選でも代表に再選されています。この時の執行部では、ジャウマ・マルファニー氏が副代表となり、カステリャーノス氏とマルティネス氏は引き続き書記を務め、会計には新たにウリオール・サリャス氏が選出されました。
2015年以降は、ジョルディ・サンチェス氏が組織の代表を務めています。
活動
ANCはカタルーニャの独立運動において、主に大規模な市民動員や啓発キャンペーンを通じて中心的な役割を担っています。
2012年の活動
地域支部は、2014年に実施されるカタルーニャ独立住民投票に向けた準備の一環として、各地で独立に関する様々なイベントや集会を定期的に開催しました。
同年6月末には、リェイダ県セウ・ベリャから「独立に向けた行進」を開始しました。この行進は、カタルーニャ州内各地での祝祭的なイベントや象徴的な抗議行動と連動しながら進められました。そして、9月11日の「カタルーニャの日」（ラ・ディアーダ）には、「カタルーニャ、新しいヨーロッパ国家」をスローガンに掲げ、バルセロナで大規模なデモを主催しました。このデモの参加者数については、バルセロナ市警察やスペイン内務省が約150万人、主催者側は約200万人、スペイン政府カタルーニャ局は約60万人と、それぞれ推定値に大きな差が見られました。
デモから2日後の9月13日、当時の代表フルカデイ氏を含むANCのメンバー5人が、カタルーニャ州政府宮殿でアルトゥール・マス州首相と面会し、1時間以上にわたって会談を行いました。ANCは州首相に対し、実質的な国民投票となる選挙の実施を提案し、マス州首相は2014年中の住民投票開催を約束しました。
その後、マス州首相がスペイン首相マリアーノ・ラホイ氏と会談しましたが、カタルーニャの財政協定案を巡る意見の対立から交渉は決裂しました。これにより、カタルーニャ州政府を率いる集中と統一（CiU）は、スペイン国民党（PP）からの協力を失い、州議会内で少数派に転落しました。ラホイ氏との会談後、マス州首相は任期を2年以上残して議会を解散し、11月25日に総選挙を実施することを発表しました。州議会の一般政策論議での開会演説において、マス州首相はこの選挙がカタルーニャの自己決定権行使の使命を帯びているとの認識を示しました。
2013年の活動
2013年初頭、ANCは市民や企業、地方自治体に対し、州独自の税務当局であるカタルーニャ国税庁への納税を推奨する「財政主権」キャンペーンを開始しました。また、5月から7月にかけては、独立支持派の様々な政党を支援するためのクラウドファンディングを実施しました。6月1日には、住民投票実現に向けたあらゆる可能性を探るため、市民が直接政府に意思を伝える「嘆願する権利」を行使し、「独立のための署名」キャンペーンを開始しました。
同年6月29日、ANCは独立文化団体オムニウム・クルトゥラルと共同で、独立支持者の大きなコミュニティの存在を示すため、FCバルセロナの本拠地カンプ・ノウで大規模な「自由のためのコンサート」を主催しました。このコンサートには約9万人が集まり、リュイス・リャッチ氏をはじめとする多くの著名なカタルーニャ人アーティストが出演しました。
そして9月11日には、歴史的な大規模デモ「カタルーニャ独立への道」を開催しました。これは1989年にバルト三国がソビエト連邦からの独立を目指して形成した「バルトの道」（人間の鎖）を模倣したもので、北カタルーニャのラ・ジュンケラから南端のタラゴナ県アルカナーまで、約400キロメートルにわたるアウグスタ街道沿いに、独立支持者たちが手をつないで人間の鎖を形成しました。この強烈な意思表示を受け、マス州首相は再びフルカデイ代表を官邸に招き、人々の意思に耳を傾け、地域の将来に関する協議を組織することを約束しました。
2014年の活動
2014年5月29日、ANCは他の市民団体と共に、バルセロナのアル・ボルン地区で「我々が望む国」（El País que Volem）キャンペーンを開始しました。これは、独立国家となったカタルーニャがどのような国であるべきかについて、市民の意見を広く集めることを目的とした参加型の取り組みでした。
同年9月11日には、ANCとオムニウム・クルトゥラルが再びバルセロナで大規模デモ「カタルーニャの道2014」を組織しました。このデモは、2か月後に予定されていた住民投票での独立支持を示すためのものでした。バルセロナ市内のグラン・ビアとディアグナル通りの交差を利用し、全長11キロメートルに及ぶ巨大な「V」の字の人文字を形成しました。この「V」は、「勝利」（Victòria）、「投票」（Votar）、「意思」（Voluntat）などの言葉を表していました。参加者数については、バルセロナ市警察が180万人、主催者側は250万人と推定しました。
9月14日、ANCは「独立のための署名」キャンペーンで集めた75万人分もの署名（234箱）を、カタルーニャ州議会のヌリア・ダ・ヒスペルト議長に提出しました。これは、もし11月9日の住民投票が実施できなかった場合、州政府に対し独立を宣言するよう求めるものでした。
歴代代表
2012年-2015年：カルマ・フルカデイ
2015年-現在：ジョルディ・サンチェス
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