カタログ販売

カタログ販売

カタログ販売とは、年数回発行されるカタログを用いて商品を販売する、通信販売の初期形態です。

歴史

アメリカ

カタログ販売は19世紀後半のアメリカで誕生しました。これは通信販売の始まりでもあります。特に19世紀末の中西部で事業として確立し、1890年代から1920年代にかけての大衆消費社会の基盤を築きました。

当時のアメリカでは、農村部において流通網が未発達で、自動車も普及していなかったため、消費の選択肢が限られていました。さらに、地元の小売店が高額な価格を設定することも珍しくなく、卸売価格の2倍で販売されることもありました。このような状況下で、カタログ販売は農村部の住民にとって重要な購買手段となりました。

モンゴメリー・ウォードやシアーズ・ローバックなどの企業が、このカタログ販売を先導しました。南北戦争後、農村部の社会・文化的な改善を目指す農業保護団体が結成され、協同購入や共同出荷を行うグレンジ運動が展開されました。中間業者を排除するモンゴメリー・ウォードの通信販売は、グレンジ運動の目的と合致し、会員への特典提供を通じて事業を拡大、1万点以上の商品を扱う大規模なカタログ販売へと成長しました。

また、1886年には、駅員のだったリチャード・ウォーレン・シアーズが、都市部へのアクセスが困難な農村部の住民向けに通信販売を開始。1893年には時計商のアルヴァ・C・ローバックとともに「シアーズ・ローバック」を設立し、カタログを郵送するマーケティング戦略を展開しました。

アメリカでカタログ販売が最も繁栄したのは、20世紀初頭の25年間とされています。

日本

日本では、1876年に津田梅子の父である津田仙が、農業雑誌でアメリカ産トウモロコシの種を販売したのが通信販売の始まりとされています。また、古書店や骨董店が発行する目録も、一種のカタログと見なすことができます。

しかし、日本の通信販売が大きく発展したのは戦後です。1960年代になると、カタログ販売会社が相次いで設立されました。1970年代には、婦人服を中心としたファッションカタログ販売が活発化し、1974年にフジサンケイリビングサービス（現：DINOS CORPORATION）の『ディノス』、1975年に『ニッセン』と『セシール』、1976年に千趣会の『ベルメゾン』が創刊されました。さらに、1986年には『ベルーナ』が創刊されています。

主な企業

ファッション

スクロール - 旧：ムトウ。静岡県浜松市に本社を置く。
ディノス - 現：DINOS CORPORATION。フジサンケイグループの一員。
セシール - 香川県高松市に本社を置く。ライブドアグループを経てディノスと合併。
イマージュ - 株式会社イマージュが運営していたが、ディノス・セシールに事業譲渡。
ニッセンホールディングス - 京都市に本社を置く。セブン&アイ・ホールディングスグループ。
千趣会（ベルメゾン） - 大阪市に本社を置く。地域経済活性化支援機構による経営再建中。
ベルーナ - 埼玉県上尾市に本社を置く。
ノース・モール - 旧：オットージャパン。オットーグループを離脱。
ピーチ・ジョン - 女性用下着通販。ワコールグループ。

その他

カタログハウス（通販生活） - 雑誌形式の有料カタログ。
オルビス - 化粧品通販。ポーラグループ。実店舗も展開。
はぴねすくらぶ - 福岡市に本社を置く。テレビショッピングを中心とした総合通販。
STV開発センター - 通販番組『北海道 味の物産市!』と連動したカタログ販売。
大塚商会（たのめーる） - オフィス用OA機器・事務用品のカタログ販売。
郵便局物販サービス

関連項目

通信販売
* カタログギフト

もう一度検索