カダヤシ目

カダヤシ目（カダヤシもく、Cyprinodontiformes）

カダヤシ目は硬骨魚類の一群で、一般にキプリノドン目とも呼ばれます。この分類群は、2つの亜目から成り、全部で10科、109属、さらには1,013種にも及ぶ魚類が含まれています。カダヤシ、グッピー、ソードテールなどの小型熱帯魚が多く、この目の魚類は主に観賞魚として知られています。また、科学的な研究においてもモデル生物として広く利用されています。

概要

カダヤシ目の魚類の大半は淡水に生息し、その多くは南北アメリカとアフリカの河川や湖沼に分布しています。特に、日本には在来の魚種は存在しませんが、カダヤシ（Gambusia affinis）やグッピー（Poecilia reticulata）が移入種として広がっています。性別による体色の差が顕著で、雄の方が鮮やかな色彩を持つことが多いです。

この目の魚類は繁殖のスタイルが多様であり、卵の大きさや発生期間も種によって異なります。具体的には、卵のサイズは0.3mmから3mmに及び、胚発生の期間は1週間から1年以上までさまざまです。また、卵胎生で繁殖する魚種が多いことも特徴です。

分類

カダヤシ目は、アプロケイルス亜目とキプリノドン亜目の2つの亜目から構成されています。これにより、全体で10科109属の魚類が分類されています。カダヤシ目の分類が現在の形になったのは、1960年代のGreenwoodらによる体系が基礎であり、その後の研究によって細分化された結果、現在見られる体系が形成されました。

アプロケイルス亜目

アプロケイルス亜目 (Aplocheiloidei) は3科36属493種で構成されます。特に観賞魚として人気が高い一群であり、色鮮やかな種類が多いのが特徴です。この亜目には、特に「年魚」として知られる種が含まれ、乾燥した環境でも卵を生存させる能力があります。

アプロケイルス科（Aplocheilidae）はマダガスカルやアフリカ東部、インド亜大陸に分布しており、雌は背鰭に黒い斑点が見られます。このほか、ノソブランキウス科やリウルス科など、直接的な系統に基づく細分化が進んでいます。

キプリノドン亜目

キプリノドン亜目 (Cyprinodontoidei) は4上科7科73属520種からなり、特徴として腹鰭の基部が近接せず、基鰓骨が2個存在します。中には、体外受精を行う種も見られます。

また、南アメリカや地中海沿岸に分布するカダヤシ科（Poeciliidae）に属する魚は、観賞魚としての人気が高いです。特に、グッピーやソードテールなどは、世界中で広く愛されています。これらの魚類は、卵胎生で繁殖し、繁殖の形態においてもユニークな特徴が多いです。

生態と進化

カダヤシ目に属する魚類は多様な発生機構、成長過程を持ち、各種それぞれ異なる生活史や繁殖様式が見られます。その中でも、体内受精を行う卵胎生の魚種が多いため、交尾の際に雄は特別な交接器を利用する文化が存在します。

カダヤシ目は、遺伝的特徴や骨格的な特徴により、他の魚類と比較して非常に独自性が高いとされています。分類の過程で、同目内でも複数の生態的特性が発展しており、適応的な進化が進んでいることを示唆しています。

カダヤシ目は、その観賞価値や生物学的な研究素材としての存在感から、今後も注目され続けることでしょう。

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