カチューシャ (映画)

映画『カチューシャ』シリーズ：大正時代の新劇ブームを彩った名作群

『カチューシャ』は、レフ・トルストイの小説『復活』を原作とする日本のサイレント映画シリーズです。1914年（大正3年）に日活向島撮影所が製作し、日活が配給・公開しました。このシリーズは、『カチューシャ』を皮切りに、続編の『後のカチューシャ』『カチューシャ続々篇』、そしてリメイク版の『復活』へと展開されました。

誕生の背景

『カチューシャ』が製作された背景には、島村抱月と松井須磨子による新劇の劇団、芸術座の存在があります。芸術座は、1914年3月に『復活』を題材とした舞台を上演し、これが大ヒットしました。特に、松井須磨子が歌う劇中歌『カチューシャの唄』は社会現象となり、同年8月には日本キネトフォンが蓄音機連動式のトーキー作品として公開、こちらも好評を博しました。

1914年版『カチューシャ』

이러한 인기를 바탕으로 日活向島撮影所는 같은 해에 영화 『카츄샤』를 제작했습니다. 脚本は桝本清が手がけ、監督は細山喜代松が務めました。当時の日活向島撮影所は「日活新派」と呼ばれ、女性の役はすべて女形が演じていました。そのため、カチューシャ役は女形の立花貞二郎が演じることになりました。

新劇出身の桝本は、小口忠とともに当時の撮影所の体制に不満を抱いており、新劇のヒット作を映画に取り入れることで状況を打開しようと試みました。映画の冒頭に『カチューシャの唄』の歌詞を字幕で入れたり、ヨーロッパ演劇の要素を背景や装置に取り入れたりするなどの工夫が凝らされました。これらの試みは、当時の映画ファンに好意的に受け入れられました。しかし、島村抱月自身は本作を鑑賞後、「女形では誤魔化しが利かぬ」と辛辣な評価を下しています。

続編とリメイク

1914年版『カチューシャ』は、日活向島撮影所にとって記録的な大ヒットとなり、翌1915年には同じスタッフ・キャストによって続編が製作されました。全3作で日活は当時の金額で16万円以上の利益を上げました。

1917年に日活向島に入社した田中栄三は、『カチューシャ』の成功に触発され、1918年には桝本清の脚本を得て、同じトルストイ原作の『生ける屍』を映画化し、成功を収めました。この作品は、日活向島の「革新映画」の第1作とされ、映画の冒頭に監督や脚本家の名前がクレジットされるようになりました。田中は、1919年には自ら『カチューシャ』をリメイクし、『復活』を監督しました。

各作品の詳細

1914年版『カチューシャ』
監督：細山喜代松
原作：レフ・トルストイ
脚本：桝本清
キャスト：立花貞二郎、関根達発
1915年版『後のカチューシャ』
監督：細山喜代松
原作：レフ・トルストイ
脚本：桝本清
キャスト：立花貞二郎、関根達発
1915年版『カチューシャ続々篇』
監督：細山喜代松
原作：レフ・トルストイ
脚本：桝本清
キャスト：立花貞二郎、関根達発
1919年版『復活』
監督：田中栄三
原作：レフ・トルストイ
脚本：不明
キャスト：東猛夫、山本嘉一

映画史における意義

『カチューシャ』シリーズは、大正時代における新劇ブームと映画の発展が融合した作品群であり、当時の大衆文化に大きな影響を与えました。また、映画製作におけるスタッフの役割を明確化するきっかけともなりました。現在、東京国立近代美術館フィルムセンターには、これらの作品は所蔵されていません。

この映画は、日本映画史における重要な作品として、その名が刻まれています。

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