カッター (船)

カッターとは

カッター（cutter）とは、小型の船舶を指す言葉で、その用途や形態によっていくつかの種類が存在します。幕末期の日本では、「コットル船」と呼ばれていました。

カッターの種類

今日、「カッター」と呼ばれる船には、主に以下の3つの種類があります。

1. 帆走カッター：
1本マストの小型帆船で、マストの前後に縦帆を備えています。バウスプリットには1枚または2枚の前帆を持ちます。
スループと比較すると、マストの位置が船の中央よりも後方に寄っているのが特徴です。
帆走カッターは、小型ながらも船室を備え、航海に適した構造をしています。

2. 手漕ぎカッター：
大型船に搭載されるボートで、カッターボートとも呼ばれます。
日本語では「端艇（たんてい）」または「短艇」と呼ばれ、人員や軽貨物の運搬に使用されます。
手漕ぎが基本ですが、帆装や発動機を備える場合もあります。
18世紀には軍艦に搭載され始め、漕ぎ手はベンチに2列に並んで座り、それぞれ1本のオールを漕ぎます。
同じく軍艦に搭載される長艇に比べて、幅が広くずんぐりした形をしています。

3. 哨戒艦艇・巡視船：
中型（フリゲート程度）以下の大きさの船で、武装している場合も多いです。
アメリカ沿岸警備隊のものが特に有名です。

帆走カッターの詳細

帆走カッターは、小型の帆船であり、1本マストの帆装として伝統的なスループ帆装と比較すると、マストの位置が異なります。

スループ帆装：マストが船の前方約70%の位置にある。
カッター帆装：マストが船の約50%から70%の位置にあり、場合によっては中央よりも後方にある。

このマスト位置の違いが、帆走性能や操船性に影響を与えます。

手漕ぎカッターの詳細

手漕ぎカッターは、軍艦に搭載される小型ボートとして発達しました。漕ぎ手は左右に分かれてベンチに座り、オールを使って推進します。

長艇と比較して幅広で、安定性が高いのが特徴です。
人員輸送や、物資の運搬に用いられていました。

監視艇としてのカッター

監視艇としての「カッター」の起源は、イギリスの税関が密輸取締りのために配備した小型帆船に遡ります。外洋航海が可能なように設計されており、小型ながらも航洋性がありました。

アメリカ沿岸警備隊が警備艦を「カッター」と呼ぶのは、この税関監視艇の流れを汲むためです。

沿岸警備隊の前身組織である「税関監視艇局（Revenue Cutter Service）」に由来します。
アメリカ沿岸警備隊は、1915年の創設当初から艦艇をカッターと呼んでいます。
アメリカ海軍協会では、海上保安庁の巡視船の英訳としてもカッターという単語が用いられています。

アメリカ沿岸警備隊のカッター

アメリカ沿岸警備隊の「カッター」は、乗組員とその居住設備を持つすべての警備艦を指します。

慣用的に、全長65フィート（約20メートル）以上の警備艦を指して用いられることが多いです。
全長180フィート（約55メートル）を超える大型カッターは、方面隊（大西洋方面または太平洋方面）の管理下にあります。
全長180フィート未満の小型カッターは、管区隊の指揮を受けます。

このように、カッターは様々な形態を持ち、それぞれの役割を果たしています。

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