カッタ君物語

『カッタ君物語』の概要

『カッタ君物語』は1995年7月12日に公開された日本のアニメ映画であり、多くの観客を魅了しました。本作は、山口県宇部市に実在したモモイロペリカンのカッタくんを基に、少年とペリカンの友情の物語を描いています。制作は「カッタ君物語」製作委員会の手によるもので、総額1億円の制作費は市民の寄付によって賄われました。

映画は、全国市長会や日本鳥類保護連盟など多くの団体から推薦を受け、その意義を認められています。また、ペリーナ役には宇部市出身の女優・タレントである西村知美が起用され、彼女は主題歌も担当しています。

あらすじ

物語の舞台は宇部市のときわ公園。ここにはペリカン島と称される、ペリカンたちの住む島がありました。ある嵐の夜、動物の世話をしていた柴田徳夫と柴田芳江夫妻は、流されかけたモモイロペリカンの卵を助け、人工的に孵化させてカッタ君が誕生します。カッタ君は公園で生活を始め、子供たちの人気者となります。

ある日、カッタ君は野村翔という少年と出会います。翔は両親がアラビアに出張中で、祖母と二人で暮らしており、孤独を感じていました。二人はすぐに仲良くなり、一緒に遊びながら楽しい日々を過ごします。しかし、翔の両親がアラビアで戦争に巻き込まれ、行方不明となってしまいます。心配になった翔はどうにかしてアラビアへ向かおうとしますが、通常の方法では無理だと理解します。

そこでカッタ君に「僕をアラビアへ連れてって」とお願いする翔に、月からの不思議な光が降り注ぎ、二人は姿を消してしまいます。それから翔はカッタ君の背中に乗り、アラビアの空を飛ぶことになります。

翔とカッタ君が目にした光景は、燃え盛る町や流出した重油で汚れた水鳥たち、そして逃げ惑う避難民たちでした。その中に翔の両親を見つけ、感動的な再会を果たします。カッタ君は避難民を救うために、再び町へ向かうことを決意します。

カッタ君は流れ弾に当たり翼を負傷し、偶然ペリーナという女の子のペリカンに助けられます。ペリーナの住処で傷を癒したカッタ君は、彼女に避難民の救助に行こうと提案します。ペリカンの長老は初めは渋りましたが、カッタ君の情熱に触発され、ついに避難民を助けに行くことを決めます。

満月の夜、ペリカンたちは一斉に鳴き、力を合わせて振りを舞い上げていきます。彼らはやがて、一つの大きなペリカンの形に変身し、戦場へ飛び込みます。カッタ君と翔は、口からビームを放ったり、羽ばたきで敵を押し返したりしながら、多くの避難民を助けることに成功しました。

無事に避難民を助け出した後、翔とカッタ君は日本に帰る途中、翔はカッタ君の背中で眠ってしまい、次に目を覚ますといつものときわ公園に戻っていました。しかし、アラビアでの出来事は周囲に信じてもらえず、カッタ君も元の言葉を失ってしまいます。でも、ニュースには「避難民を助けた謎の鳥の影」が取り上げられます。

その後、翔の両親も無事に帰国し、平和な日々が戻りますが、徳夫は「カッタ君は大人になったら野生へ帰るべきだ」と述べます。翔の両親の転勤が決まり、二人の別れが迫る中で、最後の夜を共に過ごし、思い出を語り合います。

結果的に、カッタ君は翔が乗る飛行機を見送るために飛び立つと、ときわ公園で平和に暮らすことになります。

声の出演

• - カッタ: 佐藤智恵
• - 野村翔: 林勇
• - 柴田徳夫: 掛川裕彦
• - ペリーナ: 西村知美

本作は友情や冒険、成長をテーマにし、子供から大人まで広く愛される作品となっています。

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