カツベン!

映画『カツベン!』の概要

『カツベン!』は2019年12月13日に公開された日本の映画で、周防正行監督によるオリジナル作品です。周防監督が脚本を担当していないのは初めてで、成田凌にとっては映画初主演作となります。ヒロインには黒島結菜が起用され、二人は男女それぞれ100名以上のオーディションを経て決定しました。周防監督は選考理由として、成田の素直な雰囲気や活動弁士の振る舞いをイメージできた点、黒島の初々しさや可憐さを挙げています。

製作と特徴

成田は撮影に先立ち、周防と共に講談や浪曲を観賞し、現役の活動弁士に指導を受けるなど、役作りに励みました。本作には無声映画のドタバタコメディらしい要素が随所に盛り込まれており、視覚的なユーモアも楽しめます。エンドロールは、無声映画の名作として知られる二川文太郎監督の『雄呂血』が使用されています。また、主題歌「カツベン節」は大正時代の俗謡「パイノパイノパイ」の替え歌で、魅力的なメロディが耳に残ります。

背景

映画『カツベン!』は、100年前の無声映画の時代を背景にしています。当時、海外ではチャーリー・チャップリンやバスター・キートンといった俳優の作品が人気を博し、オーケストラの演奏と共に上映されていました。一方、日本では活動弁士が映画の声を担当し、音楽に合わせて独自のナレーションを行う形式が主流でした。活動弁士は観客の人気を集め、映画館にとっては彼らとの契約が重要な要素でした。しかし、1930年代からトーキー映画が普及すると、無声映画は次第に減少していきました。

あらすじ

物語は1915年、関西の町で始まります。主人公の染谷俊太郎は、活動弁士に憧れる少年。彼は撮影を見物に訪れた所、仲間と共に悪戯をして警官に追われてしまいます。その中に、彼の運命を変える少女・梅子がいました。10年後、俊太郎はニセ弁士として活動する羽目になり、心ならずも窃盗団と関わることに。しかし、様々な困難を経て彼は「國定天聲」と名乗り、活動弁士として名を馳せていきます。

物語が進む中、俊太郎と梅子は再会し、彼女は女優として成長を遂げています。しかし、彼らの道は再び交差します。俊太郎は安田といういかさま興行師によって追い詰められ、梅子が人質に取られる危機が訪れます。俊太郎は仲間と共に梅子を救い出し、青木館での最後の上映に挑みます。様々な事件を経て、俊太郎は自身の過去と向き合いながら成長していく姿が描かれます。

登場人物

• - 染谷俊太郎（國定天聲）：活動弁士に憧れる主人公。経験豊かな活動弁士として認められるまで様々な試練を乗り越える。
• - 栗原梅子（沢井松子）：俊太郎の幼なじみで、成長して女優として再会する。
• - 山岡秋聲：青木館所属の活動弁士で、俊太郎の憧れの存在。
• - 安田虎夫：俊太郎をニセ弁士に仕立て上げるいかさま興行師。

この映画は、無声映画の時代の煌めきを存分に描き出しながら、主人公の成長と人間関係の変化を描いた感動のストーリーです。

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