カトリック同盟 (フランス)

カトリック同盟：16世紀フランスを揺るがした宗教同盟

カトリック同盟（La ligue catholique または La Sainte Ligue, La ligue）は、16世紀フランスのユグノー戦争期に形成されたカトリック側の同盟です。かつてカトリックに対し、日本の歴史用語で「旧教」という言葉があてられたことから、「旧教同盟」とも呼ばれることがあります。

結成の背景

1576年5月6日のボーリューの勅令がプロテスタント側に有利な内容であったことが、カトリック同盟結成の直接的なきっかけとなりました。カトリック側はこれに反発し、同盟を結成。当初は、国王アンリ3世がカトリックの保護者として行動するならば、国王の臣下として従順であるという立場でした。

同年11月には、ギーズ公アンリがパリで同盟を組織し、指導者となりました。国王はギーズ公の勢力拡大を警戒し、彼をパリから遠ざけようとしましたが、失敗に終わります。1582年以降、スペイン国王フェリペ2世は、カトリック勢力の強化とフランス王権の弱体化を企図し、カトリック同盟に資金援助を行いました。

激化する対立

1588年12月23日、ブロワ城での三部会において、ギーズ公アンリがアンリ3世の支持者によって殺害されると、カトリック同盟が支配的な地域（ロレーヌ、シャンパーニュ、ブルゴーニュ、ブルターニュ、パリなど）でアンリ3世に対する暴動が発生しました。しかし、アンリ3世自身も1589年8月2日、カトリック同盟派のドミニコ会士ジャック・クレマンによって暗殺されます。

アンリ4世の登場とカトリック同盟の終焉

新たな国王となったアンリ4世は、カトリック同盟が支持していたシャルル・ド・ブルボン枢機卿よりも王位継承順位が高かったものの、プロテスタントであったため、カトリック同盟は強く反発しました。1590年3月14日のイヴリーの戦いでアンリ4世軍に敗北し、2度にわたるパリ包囲を受けても、カトリック同盟はアンリ4世がカトリックに改宗するまで武装解除を拒否しました。

1594年にアンリ4世がシャルトルで戴冠し、カトリック同盟の残党を1595年6月5日の戦いで撃破したことで、カトリック同盟は決定的な終焉を迎えました。この時期は、絶対王政到来前のフランス王権にとって最大の危機のひとつであったとされています。

出版史におけるカトリック同盟

この時期は、カトリック同盟側と反カトリック同盟側が、文書を用いて大規模な中傷合戦を繰り広げた時代でもありました。フロンドの乱におけるマザリナードやフランス革命期の文書合戦と並び、フランスの出版史上重要な時期と位置づけられています。フランスでは、この時期に焦点を当てた詳細な出版史研究書も出版されています。

カトリック同盟は、フランス国内外の政治情勢、宗教対立、そして出版文化に大きな影響を与えた出来事でした。

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