カナダからの手紙

「カナダからの手紙」は、1978年1月10日にビクター音楽産業（現在のJVCケンウッド・ビクターエンタテインメント）からリリースされた、歌手・作曲家である平尾昌晃と、この楽曲が歌手デビュー作となった畑中葉子によるデュエットシングルです。

この曲は発表されるや否や大きな反響を呼び、国民的なヒットソングとなりました。その人気ぶりは、楽曲のタイトルにちなんで、発表された1978年にカナダを訪れる日本人観光客が、前年に比べて約3割も増加したという社会現象を引き起こしたことからも窺い知ることができます。

この楽曲の誕生には、平尾昌晃自身が深く関わっています。彼は、自身が主宰する平尾昌晃ミュージックスクールの生徒の中から、デュエット相手を選出するためのオーディションを実施しました。その結果、才能を見出されたのが畑中葉子でした。

平尾昌晃と畑中葉子は、「カナダからの手紙」の成功後も数曲のデュエットシングルをリリースしていますが、当時高い人気を誇った音楽ランキング番組『ザ・ベストテン』において、通常ランキング入りを果たしたのはこの「カナダからの手紙」のみとなっています。

また、両名は1978年末に放送された第29回NHK紅白歌合戦への出場も果たしました。紅白歌合戦では、男女のデュエット曲は一般的に紅組で歌唱するのが通例でしたが、平尾昌晃と畑中葉子はこの楽曲を白組として歌唱するという、異例の出演となりました。

さらに、この楽曲は様々なメディアで取り上げられ、日清食品が当時販売していた「お茶漬けヌードル」のテレビコマーシャルでは、本楽曲のメロディーに乗せた替え歌が使用され、お茶の間に親しまれました。

平尾昌晃の逝去から一年後の2018年には、畑中葉子がセルフカバーアルバム『ラブレター・フロム・ヨーコ』を発表。このアルバムには、「カナダからの手紙」のセルフカバーを含む、平尾昌晃が手掛けた楽曲のカバーが多数収録されています。

オリジナル版シングルの収録曲は以下の通りです。

1. カナダからの手紙（2分59秒）
2. 揺れる二人（2分56秒）

両楽曲ともに、作詞は橋本淳、作曲は平尾昌晃、編曲は森岡賢一郎が担当しました。

「カナダからの手紙」は、その代表的なヒット曲としての評価から、後年発売された数々のコンピレーションアルバムやベスト盤にも多数収録されています。例えば、『ザ・ベストテン 歌謡曲編2 1978-89』（日本コロムビア）や、通信販売向けにBMG JAPANが企画・制作したアルバム『歌心 流行歌120選』などでこの楽曲を聴くことができます。

この名曲は、時代を超えて多くのアーティストによってカバーされています。特に、平尾昌晃の一周忌にあたる2018年には、松原健之がアルバム『松原健之が歌う平尾昌晃永遠の名曲選集』をリリースし、そのアルバムからのシングルとして、松原健之とみずき舞によるデュエットバージョンが同年8月15日に発表されました。このシングルには、「カナダからの手紙」に加え、平尾昌晃が作曲した梓みちよの代表曲「二人でお酒を」のカバーもカップリングとして収録されています。

松原健之・みずき舞版シングルの収録曲は以下の通りです。

1. カナダからの手紙（3分8秒）
（作詞：橋本淳／作曲：平尾昌晃／編曲：鈴木豪）
2. 二人でお酒を（デュエットバージョン）（3分37秒）
（作詞：山上路夫／作曲：平尾昌晃／編曲：鈴木豪）
3. カナダからの手紙（オリジナルカラオケ）
4. 二人でお酒を（デュエットバージョン）（オリジナルカラオケ）
5. カナダからの手紙（男声用カラオケ）
6. カナダからの手紙（女声用カラオケ）
7. 二人でお酒を（デュエットバージョン）（男声用カラオケ）
8. 二人でお酒を（デュエットバージョン）（女声用カラオケ）

その他のカバーとしては、2018年発売の伊藤咲子のアルバム『恋する名曲娘』に、城みちるとのデュエットで収録されたバージョンなどがあります。

この楽曲は、その人気から競馬などの冠名にも使用されたり、当時の人気音楽番組『夜のヒットスタジオ』への平尾・畑中ペアの初出演曲となったりするなど、様々なエピソードを持っています。また、関連する事柄として、「よい国」「道しるべ (ラジオ番組)」「義野裕明」「1978年の音楽」などが挙げられます。

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