カナダの鉄道

カナダの鉄道：歴史と現状

カナダの広大な国土を支える鉄道網は、貨物輸送を主体とする重要なインフラとして機能しています。本記事では、カナダの鉄道の歴史、現状、主要事業者、そして国際的な接続状況について解説します。

カナダ鉄道の現状

カナダの鉄道総延長は約49,422kmに及びますが、電化されている区間はわずか129kmです。大部分は標準軌を採用していますが、一部の産業用鉄道や地方の私鉄では狭軌、トロント地下鉄や路面電車では広軌が用いられています。

旅客輸送はVIA鉄道が担い、モントリオール、トロント、バンクーバーといった主要都市では近郊通勤列車も運行されています。これらの都市部では、ライトレールや地下鉄も整備されています。一方、観光鉄道や、遠隔地を結ぶ小規模な鉄道も存在します。主要な貨物輸送は、カナディアン・ナショナル鉄道（CN）とカナダ太平洋カンザスシティ鉄道（CPKC）の2大企業が担っています。

カナダ鉄道の歴史

カナダにおける鉄道の歴史は古く、1836年にモントリオール郊外でシャンプラン・セントローレンス鉄道が開業したのが始まりです。1849年の鉄道利子保証法によって鉄道建設が加速しましたが、政府の財政負担は膨れ上がりました。

1860年には、グランド・トランク鉄道がオンタリオ州サーニアからモントリオールまで開通。この鉄道建設は、それまで分離していた植民地政府の合併を促す要因の一つとなりました。財政破綻を避けるため、より強固な財政基盤を築く必要があったのです。

1867年のカナダ建国は、この鉄道網の発展と密接に関係しています。植民地間の連携を強化するために、大西洋岸と太平洋岸を結ぶ鉄道建設が重要な課題となり、カナダ・インターコロニアル鉄道（後のCNの前身）の建設が始まりました。

太平洋への鉄道建設では、カナダ太平洋鉄道が民間資本と土地信託資金を元に、1885年に世界最長の鉄道として開通。これは当時の技術的にも大きな偉業でした。

1900年代に入ると、カナダ経済の成長に伴い、カナディアン・ノーザン鉄道、グランド・トランク太平洋鉄道といった新たな大陸横断鉄道計画が浮上。政府もナショナル・トランスコンチネンタル鉄道を建設しました。しかし、第一次世界大戦による移民減少と資本不足により、これらの拡張計画は失敗に終わり、多額の負債を抱えることになります。

結果として、カナディアン・ノーザン鉄道、グランド・トランク太平洋鉄道、グランド・トランク鉄道は国有化され、カナダ政府鉄道を経て、1923年にはカナダ・インターコロニアル鉄道、ナショナル・トランスコンチネンタル鉄道などと共に、カナディアン・ナショナル鉄道に統合されました。

第一次世界大戦後は鉄道拡張は鈍化し、自動車や航空機の普及により旅客輸送における鉄道のシェアは減少しました。戦後には資源輸送用の鉄道が建設されましたが、多くの路線は北米の幹線鉄道網と接続していませんでした。

1978年には、VIA鉄道が設立され、国内の旅客輸送が統合されました。1987年の全国輸送法、1996年のカナダ輸送法による規制緩和を経て、1995年にはCNが民営化されました。

カナダの主な鉄道会社

カナディアン・ナショナル鉄道（CN）
カナダ太平洋カンザスシティ鉄道（CPKC）
VIA鉄道
その他、地方の鉄道会社多数

国際接続

カナダの鉄道はアメリカ合衆国と接続していますが、アラスカ州とは接続していません。グリーンランドとは海峡を隔てており、接続はありません。

まとめ

カナダの鉄道は、歴史的背景と経済的要因が複雑に絡み合いながら発展してきました。現代では貨物輸送が中心となっていますが、旅客輸送においても重要な役割を果たしています。今後もカナダの経済成長を支える重要なインフラとして、その役割はますます重要になっていくでしょう。

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