カナダ・メソジスト教会

カナダ・メソジスト教会：その歴史と影響

カナダ・メソジスト教会は、1884年に成立したカナダにおける重要なプロテスタント教派です。そのルーツは18世紀に遡り、カナダ東海岸とセントローレンス川北側で活動していた、最も古いメソジストの教団にあります。本記事では、その成立の経緯、合同教会への参加、そして日本への布教活動について解説します。

成立の背景

1766年、ロレンス・コーランという平信徒によって、ニューファンドランド島にイギリスのメソジスト運動が伝えられました。その後、ウィリアム・ブラックがカナダ沿海州で伝道を開始し、1800年にはイギリス・ウェスレアンの指導下に入ります。一方、アッパーカナダでは、1791年にウィリアム・ルーズの指導のもと、アメリカのメソジスト監督教会がイギリス系移民への伝道を開始しました。

1833年、これらの教会の多くはイギリス・ウェスレアンと共にカナダ・ウェスレアン・メソジスト教会を設立します。しかし、一部はカナダ・メソジスト監督教会を再建し、勢力を拡大しました。1874年には、ウェスレアン・メソジスト教会がメソジスト派ニューコネクション教会などと合同し、カナダ・メソジスト教会と改称しました。

そして1884年、カナダ・メソジスト監督教会とカナダ原始メソジスト教会との合同により、カナダ最大のプロテスタント教派であるメソジスト教会が誕生しました。これにより、一部の例外を除き、カナダにおけるほぼ全てのメソジストが包括されることとなりました。

カナダ合同教会への参加

1925年、カナダ・メソジスト教会は、カナダ長老派教会の一部、カナダ会衆派教会と共に、カナダ合同教会を発足させました。この合同には、イートン家やマッセイ家のような資産家が支援し、トロント大学ビクトリア・カレッジの発展に貢献しました。合同教会は、禁酒や安息日の徹底、女性の権利、先住民への布教など、メソジスト的な価値観を重視しました。

合同教会発足後、メソジストという名称は薄れていきましたが、エジャートン・ライアーソンの名は、ライアーソン大学などの教育機関を通して今も記憶されています。トロントは、かつてその政治的・社会的影響力から「メソジストのローマ」と呼ばれていました。

日本への布教

1873年、カナダ・メソジスト教会は最初の宣教師としてジョージ・コクランと宣教医デイヴィッドソン・マクドナルドを日本に派遣しました。彼らは横浜に上陸し、静岡や沼津で教会を設立しました。その後、多くの宣教師が派遣され、東洋英和女学校などのミッションスクールを創設し、日本の教育とキリスト教の発展に貢献しました。

1907年、カナダ・メソジスト教会は米国メソジスト監督教会などと合同し、日本メソジスト教会を設立しました。これにより、カナダ・メソジスト教会の日本における活動は新たな段階に入りました。

カナダ・メソジスト教会は、カナダのキリスト教史において重要な役割を果たしただけでなく、日本を含む世界各地への布教活動を通じて、多大な影響を与えました。その歴史は、合同教会の成立や教育機関の設立を通して、今もなお受け継がれています。

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