カナマト・ボタシェフ

カナマト・フセーエヴィチ・ボタシェフ（Kanmat Khuseevich Botashev、1959年5月20日 - 2022年5月22日）は、ロシア連邦の軍人であり、最終階級は少将でした。彼は西部軍管区に所属する第23326部隊の指揮官を務め、ヴォロネジ近郊のバルチモール空軍基地の司令官でもありました。

生い立ちと軍歴

ボタシェフは、旧ソ連のカラチャイ・チェルケス自治州ニージュニヤ・チェベルダで生まれました。1976年に高校を卒業後、1981年にエイスク高等軍事航空学校で操縦士免許を取得しました。その後、2010年にはロシア陸軍士官学校を卒業しています。

彼は空軍に所属し、ザバイカル軍管区航空部門（2008年 - 2010年）やバルチモール空軍基地司令官（2008年 - 2012年）などの要職を歴任しました。

除隊とその後

ボタシェフの軍歴は、2012年12月29日にカレリア共和国ペトロザヴォーツク近郊のペトロザヴォーツク空港での戦術飛行演習中に転機を迎えます。彼は事前に訓練や機体メンテナンスを十分に行わないまま、Su-27戦闘機を操縦し、予定外の曲技飛行を行った結果、バランスを失い墜落事故を起こしてしまいました。

この事故で、ボタシェフは墜落前に脱出したものの、刑法第351条（飛行規則違反）に基づき、規則を無視して機体を損壊したとして刑事告訴されました。最終的に、500万ルーブルの罰金と4年間の保護観察が宣告され、2013年に軍を解任されました。

軍を離れた後、彼はサンクトペテルブルクで士官候補生を教育する国営機関、DOSAAFの副責任者やサンクトペテルブルク航空クラブ副会長などの職に就いていました。

戦死

2022年、ロシアのウクライナ侵攻が始まると、ボタシェフは再び戦場に身を投じました。2022年5月22日、ウクライナ東部のルハンスク州ポパスナ近郊で、ウクライナ空挺部隊員によるFIM-92 スティンガーでの攻撃によってSu-25攻撃機が撃墜され、その搭乗者がボタシェフであることがロシアメディアによって確認されました。

報道によると、ボタシェフはワグネル・グループの傭兵として参戦していたとされていますが、彼がどのような経緯で参加したのかは不明です。彼は63歳で生涯を閉じました。

まとめ

カナマト・フセーエヴィチ・ボタシェフは、ロシア空軍の将校として活躍し、その後不祥事により軍を離れたものの、晩年にはウクライナ侵攻という戦火の中で命を落とした人物です。彼の波乱に満ちた生涯は、現代のロシア社会と軍隊の複雑さを映し出していると言えるでしょう。

参考項目

* 2022年ロシアのウクライナ侵攻で死亡したロシア軍高級将校の一覧

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