カネツクロス

カネツクロス：重賞ウイナーの輝かしい経歴と惜しまれる最期

カネツクロス（1991年3月18日 - 2017年12月21日）は、日本の競走馬界にその名を刻んだ名馬です。1995年にはエプソムカップと鳴尾記念を制覇し、翌1996年にはアメリカジョッキークラブカップも勝利。華麗な走りで競馬ファンを魅了しました。さらに、日本の競走馬として初めてチークピーシズという馬具を装着したことでも知られています。

輝かしい競走馬生活

美浦の西塚安夫厩舎に所属したカネツクロスは、1994年1月に東京競馬場での新馬戦でデビュー。デビュー当初は勝利から遠ざかりましたが、4戦目で初勝利を挙げると、その後も勝ち星を重ねていきます。

1995年に入ると、中山競馬場の1500万下競走である春風ステークスを制覇。続くメトロポリタンステークスも勝利し、勢いに乗って臨んだ重賞初挑戦のエプソムカップでは、トップハンデを背負いながらも見事に勝利を掴みました。

その後、毎日王冠では惜しくも10着に敗れましたが、天皇賞（秋）への出走を目指していました。しかし、登録馬の増加により賞金面で除外。急遽、菊花賞と同日の大原ステークスに出走することになりました。このレースでは主戦騎手の的場均騎手が他のレースに騎乗するため、横山典弘騎手が騎乗。折り合いを欠きながら先頭で押し切り、勝利を収めました。このレースを転機に、カネツクロスのレーススタイルは好位から先頭に立つ積極的なものへと変化していきます。

続く鳴尾記念でも、レース中盤から先頭に立ち、後続の追撃を凌いで勝利。勢いそのままに臨んだアメリカジョッキークラブカップでは、上がり33.9秒の末脚で2着のダンスパートナーを突き放し、3連勝を達成しました。

しかし、その後は思うような結果を残せず、日本競馬史上初となるチークピーシズの装着を試みるなど、様々な工夫が凝らされましたが、思うような効果は得られませんでした。1997年の有馬記念を最後に、競走馬としてのキャリアに幕を閉じました。

管理調教師の処分と転厩

特筆すべき点として、カネツクロスの競走生活において、管理調教師である西塚安夫調教師の馬主名義貸しへの関与が発覚し、調教停止処分を受けたことが挙げられます。このため、1995年の鳴尾記念、翌年のアメリカジョッキークラブカップ、日経賞は一時的に堀井雅広厩舎へ転厩し、堀井調教師の管理のもとで出走しています。日経賞後、西塚調教師の処分が明けて西塚厩舎に戻っています。西塚調教師は、自身の死の前年に息子である西塚信人と共にカネツクロスを訪れています。

引退後と最期

引退後は種牡馬となることなく、生まれ故郷であるカネツ牧場で余生を過ごしました。その後、名馬のふるさとステーションへ移動した時期もありましたが、再びカネツ牧場に戻り、2017年12月21日、26歳でその生涯を閉じました。

血統とその後

カネツクロスの半妹マウントモガミの曾孫には、2022年新潟2歳ステークスを制覇したキタウイングがいます。カネツクロスの血統は、現代の競走馬にも受け継がれているのです。

カネツクロスは、数々の重賞競走を制覇した実力馬であり、日本競馬の歴史に大きな足跡を残しました。その輝かしい経歴と、惜しまれる最期は、競馬ファンにとって永遠の記憶として語り継がれることでしょう。

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