カピタン

カピタンと江戸時代の商館長

カピタン（甲比丹、甲必丹、加比旦）は、江戸時代におけるオランダ東インド会社が日本に設けた商館の最高責任者、すなわち商館長を指します。この呼称はポルトガル語の「Capitão」に由来し、英語の「Captain」と同義であり、意味としては「船長」や「隊長」が含まれています。南蛮貿易の初期、ポルトガルが日本との交易国としての地位を占めていた時代、商館長を「カピタン」と称していましたが、オランダがその地位を引き継いでも、オランダ語の「Opperhoofd」には置き換えられませんでした。

西洋商館の歴史

日本における西洋商館の歴史は、天文12年（1543年）のポルトガル人漂着から始まります。ポルトガル人やイスパニア人は、貿易やキリスト教の布教活動を行いました。1550年には、肥前国平戸にポルトガル商船が来航し、1561年には平戸での南蛮貿易が許可され、当時のポルトガル商館が建立されました。また、1571年に長崎が開港され、イエズス会によってポルトガル商館が設立されるなど、貿易活動が活発化しました。

1587年には豊臣秀吉がバテレン追放令を発布し、日本国内のキリスト教徒や宣教師に対する圧力が高まります。この背景には、外交貿易権の掌握や、日本人の奴隷売買の禁止などがあったと言われています。

1600年にはオランダのリーフデ号が豊後国に漂着し、ウィリアム・アダムスとヤン＝ヨーステン・ファン・ローデンスタインが徳川家康と面会しました。これにより、英蘭の貿易関係が発展しました。1609年にはオランダ商館が平戸に設立され、初代カピタンにはヤックス・スペックスが任命されます。1613年にはイギリス東[[インド会社]]も平戸に商館を設立しましたが、1623年のアンボイナ事件を契機に対インド貿易へシフトし、平戸の商館は閉鎖されました。

キリシタン禁令と貿易の変遷

1612年、江戸幕府は禁教令を布告し、1635年には邦人の東南アジア的移動を禁止するなど、更なるキリスト教徒への圧力が強化されました。ポルトガル商館は1641年に出島に移転し、以降、日本とポルトガルの関係は一層弱まります。オランダ商館は、出島を拠点としながら新たな貿易の形態を確立していきました。

1637年には島原の乱が発生し、幕府はポルトガル貿易の打ち切りを望むようになりました。1641年にはオランダ商館が長崎の出島に移転し、西洋への通商を行いながら鎖国体制を確立しました。これにより、出島は1828年まで存続し、オランダとの貿易を続ける重要な拠点となったのです。

カピタンと商館長の役割

カピタンは、オランダ商館の最高責任者として日本との貿易活動を指導し、異文化交流の一翼を担っていました。歴代のオランダ商館長は、日本におけるオランダの地位を確立し、日本社会との信頼関係を築くための様々な努力を重ねてきました。

このように、カピタンとしての役割は、日本と西洋の貿易史において非常に重要な意義を持ちました。彼らの交流を通じて、日本は世界の貿易網に加わり、新たな歴史的展開を迎えます。

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