カピトリーノ美術館

カピトリーノ美術館（Musei Capitolini）は、イタリアの首都ローマにある公立美術館で、カピトリーノの丘の上に位置しています。この美術館は、ローマ市の「首都ローマ博物館システム」の一部であり、1734年に一般公開された、世界で初めての美術館として知られています。

18世紀以降、「カピトリーノ美術館」という名称は、複数の建物を総称するものとして使われてきました。その歴史は15世紀に遡り、教皇庁がラテラノ宮殿にあった頃、古代ローマのブロンズ像などが保存されていました。1471年、教皇シクストゥス4世はこれらの彫像をローマ市民に寄贈し、その中に『コンスタンティヌス大帝の巨像の頭部』、『とげを抜く少年』、『カピトリーノの雌狼』、『マルクス・アウレリウス騎馬像』といった名品が含まれていました。

これらの美術品は当初、コンセルヴァトーリ宮殿の中庭に配置されました。その後、250年以上の歳月を経て、1734年に教皇クレメンス12世の時代に美術館として一般公開されました。これが、美術館として一般市民に開放した世界最古の事例とされています。1748年にはベネディクトゥス14世によって、コンセルヴァトーリ宮殿の3階に絵画館が設けられました。20世紀に入ると、1925年にムゼオ・ヌオーヴォ（新美術館）、1952年にはブラッチョ・ヌオーヴォ（新翼棟）が増設され、コレクションの拡充が進みました。

美術館は、カンピドリオ広場に面しており、広場は16世紀半ばにミケランジェロによって設計されました。その設計は、広場の全体の構想から宮殿正面のファサードの意匠、割り石が描く幾何学模様など、今日までその姿を留めています。広場の中央には、マルクス・アウレリウスの騎馬像のレプリカが置かれ、オリジナルはパラッツォ・ヌオーヴォに展示されています。

カピトリーノ美術館は、コンセルヴァトーリ宮殿とパラッツォ・ヌオーヴォの二つの主要な建物から構成されています。コンセルヴァトーリ宮殿の2階には、『コンスタンティヌス大帝の頭部』、『とげを抜く少年』、『カピトリヌスの雌狼』などの古代ローマやエトルリアの彫刻が展示されています。3階の絵画館には、ルネサンスやバロック期のイタリア絵画が展示されており、ティツィアーノ、ティントレット、カラヴァッジオ、ルーベンス、グエルチーノなどの巨匠たちの作品を見ることができます。特に『カピトリヌスの雌狼』は、ローマの建国伝説に深く関わる像として有名です。また、コンセルヴァトーリ宮殿の中庭には、コンスタンティヌス帝の巨像の巨大な手足の残骸が展示されており、その壮大さを物語っています。

一方、パラッツォ・ヌオーヴォには、古代ギリシャ彫刻のローマ時代の模作である「ローマン・コピー」が多く展示されています。これには、『瀕死のガリア人』や『カピトリーノのヴィーナス』などが含まれます。以前カンピドリオ広場の中央に置かれていた『マルクス・アウレリウス騎馬像』は、大気汚染の影響で損傷が深刻化し、修復後にはパラッツォ・ヌオーヴォに移されました。

カピトリーノ美術館は、古代から現代に至るまでのローマの歴史と芸術を体験できる、貴重な場所です。そのコレクションは、彫刻、絵画、工芸品など多岐にわたり、訪れる人々を魅了し続けています。

主な収蔵品

『コンスタンティヌス大帝の頭部』(4世紀)
『とげを抜く少年』(紀元前1世紀)
『カピトリーノの雌狼』(エトルリア、紀元前5世紀)
『マルクス・アウレリウスの騎馬像』(160-180年)
『瀕死のガリア人』(ギリシャ人プラクシテレスの原作のローマ時代の模作)
『カピトリーノのヴィーナス』(ギリシャの原作のローマ時代の模作)
ティツィアーノ『キリストの洗礼』
ティントレット『マグダラのマリア』
カラヴァッジオ『洗礼者聖ヨハネ』
ルーベンス『ロムルスとレムス』
グエルチーノ『聖マタイと天使』
『アリアドネー』(通称「アリアス」のオリジナル胸像)

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