カピバラ

カピバラ（Hydrochoerus hydrochaeris）の概要

カピバラは、テンジクネズミ科に属し、世界で最も大きな齧歯類です。主に南アメリカのアマゾン川流域の温暖な水辺に生息し、非常に穏やかな性格が特徴です。
この動物の名前は、グアラニー語の「ka'apiûara」から由来し、草を食べる者を意味します。日本では「オニテンジクネズミ」とも呼ばれていますが、カピバラという名称は一般的に広まっています。時折、カピパラやカビパラと間違われることもあります。

形態的特徴

カピバラは、体長が106〜134センチメートル、体重はオスで35〜64キログラム、メスで37〜66キログラムに達します。厚い体毛は水を弾く性質を持ち、特に水辺での生活に適した構造になっています。足には水かきがあり、水中でもスムーズに移動できるようになっています。オスは特有の臭腺を持ち、これが繁殖行動にも影響を与えます。

分類

カピバラはカピバラ属にのみ存在し、他の齧歯類とは異なる特徴を持つ一種のグループです。遺伝子解析の結果、モコ属とともに系統的関係があるとされています。

生息環境と生態

カピバラは、河辺の草原や熱帯雨林など、多様な環境で生活しています。彼らは約10〜20ヘクタールの行動圏を持ち、通常は群れを作って生活します。群れは平均10〜20頭ですが、水場が少なくなる乾季には100頭以上になることもあります。

日中は水中で休むことが多く、夕方に採食を行います。群れの中で協力し合いながら、捕食者から身を守るための行動も観察されます。特に子供を守るために、成獣が協力して行動する姿が見られるのも特徴です。

カピバラは草食性で、主に水辺の植物や牧草を食べています。動物園では果物などが与えられていますが、やはり新鮮な草を好む傾向があります。また、歯は常に伸び続けるため、木や石を使って自ら研ぎます。

交尾は水中で行われ、妊娠期間は約150日です。生まれた幼獣は、数時間後には群れに戻ることができます。授乳期間は長く、育児の役割は群れ全体で共有されます。

食肉としてのカピバラ

カピバラは古くから狩猟の対象とされてきました。特にコロンビアや南アメリカの一部地域では食用として捕獲されており、肉は良質と評価されています。しかし、近年では狩猟が禁止される国も増えています。

日本での飼育事情

日本では各地の動物園でカピバラが飼育されており、多くの場合は直接触れたり餌を与えたりできる体験もあります。特に温泉に入る姿が人気で、いくつかの動物園では「カピバラ温泉」が設けられています。カピバラは社交的で、マッサージ好きな性格から来園者との交流も盛んです。

また、個体をペットとして飼うことも可能で特に法的規制もありませんが、飼育の難しさから注意が必要です。

最近の研究では、カピバラが湯に入ることで皮膚の水分量やストレスレベルに良い影響を与えることが示されています。これにより、カピバラの健康も考慮した飼育が進む期待が寄せられています。

食害問題

沖縄県では一部のカピバラが野生化し、作物に悪影響を及ぼす事例も報告されています。これらの問題にも留意しながら、カピバラに対する理解を深めていくことが重要です。

もう一度検索