グアラニー語

グアラニー語とは

グアラニー語（Guaraní）は、南米の先住民族であるグアラニー族の言語で、トゥピ語族に属します。パラグアイではスペイン語と並び公用語として使用されており、国民の大多数が理解し、特に地方部ではグアラニー語のみを母語とする住民も存在します。また、パラグアイ周辺のアルゼンチン、ブラジル、ボリビアなどでも話されており、ボリビアでは先住民言語の一つとして公用語に、アルゼンチンのコリエンテス州では第二公用語として指定されています。

特徴

グアラニー語は、アメリカ先住民の言語の中で最も話者が多く、非先住民の話者が多いという特徴があります。これは南北アメリカ大陸においては珍しい例です。通常、混血や文化的に同化した先住民は、植民地言語であるスペイン語を使用する傾向がありますが、グアラニー語はそうした傾向に当てはまらない例外的な言語と言えます。

イエズス会の宣教師アントニオ・ルイス・デ・モントーヤは、グアラニー語を「豊かで格調高く、最高の名声を受けるに値する」と評しました。

歴史

イエズス会は、先住民へのカトリック布教をグアラニー語で行い、自治共同体でも使用されました。また、パラグアイの独裁者が国境を閉鎖したことが、国内の文化や言語を守る結果となり、グアラニー語は活力を保ち、公用語の地位を獲得しました。

分類

グアラニー語には様々方言が存在し、研究者によって分類が異なります。

Rodrigues (1984/85) による分類:
古グアラニー語
ムブヤ語
シェテ語
ニャンデバ語（チリパ語）
カイワ語（カヨバ語）
パニ語
パラグアイグアラニー語
グアヤキ語
タピエテ語
チリグアノ語（アバ語）
イソセーニョ語（チャネ語）
Kaufman (1994) による分類:
グアラニー語群
カイングワ方言
カイワ（カヨバ）
パニ（パニィ）
タビテラン
ボリビア グアラニ方言
パラグアイ グアラニ方言
ジョパラ
チリパ・ニャンデバ方言
チリパ
ニャンデバ
チリグアノ方言複合体/新生言語 (?)（アバ）
タピエテ（ニャナイグア）
チリグアノ・チャネ・イソセーニョ（タピイ）
ムビア グアラニ方言
シェタ語
グアヤキ語
Lewis et al. (2015) による分類:
アバグアラニー語（チリパ語、ニャンデバ語、Apytare）
アパポクバ方言
西部ボリビアグアラニー語
東部ボリビアグアラニー語（チリグアノ語）
アバ方言
イソセーニョ方言
チャネ方言
パラグアイグアラニー語
ジョパラ方言
ムブヤグアラニー語
Baticola方言
Tambéopé方言

ジョパラとは、スペイン語の要素が混ざった口語のグアラニー語で、都市部でよく使われます。

綴字法

グアラニー語のアルファベットは、ラテン文字を基本とし、ダイアクリティカルマークや二重字を加えたものです。正書法は音素に基づいており、文字の発音はスペイン語と似ています。

音韻論

母音: a, e, i, o, u, y の6文字。それぞれに強勢を示す記号が付くことがあります。チルダは鼻母音を示します。
* 子音: 特定の子音は相補分布を示し、方言によって発音が異なる場合があります。

文法

グアラニー語は膠着的な言語であり、流動-Sの活格言語です。文法性や定不定を示す接辞はありませんが、スペイン語の影響で定冠詞が使われることもあります。

語彙

グアラニー語由来の単語は、英語にも取り入れられています。例えば、ジャガー、ピラニア、アグーチなどがあります。

グアラニー語は、南米の文化や歴史を色濃く反映した、豊かな言語です。

もう一度検索