カプア包囲戦

カプア包囲戦：第二次ポエニ戦争における攻防

カプア包囲戦は、第二次ポエニ戦争中の紀元前212年から紀元前211年にかけて、共和政ローマがカルタゴの同盟都市カプアに対して行った攻城戦です。この戦いは、カンナエの戦いでのカルタゴの勝利後、多くの都市がローマから離反する中で発生しました。

背景：カンナエの戦い後の情勢

カンナエの戦いでの勝利後、ハンニバルは戦略的に重要な戦果を挙げ、カンパニアのアテラ、カラティア、アプリアの一部、サムニウム人、ブルッティ族、ルカニ族、ウゼンティ族、ヒルピニ族、コンパサ、そしてマグナ・グラエキアのタレントゥム、メタポントゥム、クロトーン、ロクリ、ガリア・キサルピナなど、多くの都市国家や部族がローマから離反しました。しかし、ネオポリス（現在のナポリ）はローマとの同盟を維持しました。

ハンニバルは弟のマゴ・バルカに一部の兵を与え、ブルティウムに向かわせ、地域の都市や部族にローマからの離脱とカルタゴへの服従を促し、拒む場合には攻撃を行いました。

カプアの離反とカルタゴとの同盟

紀元前216年、カプアはローマを離れ、カルタゴに味方しました。カプアはローマに次ぐ第2の都市であり、アッピア街道でローマと結ばれており、その重要性は高まっていました。ハンニバルはカプアとの間にローマとの離脱交渉を行い、カルタゴ高官もカプア市民以上の権利を持たない、カプア市民はその意思に反して徴兵されたり訓練を受けたりすることはない、カプアはその法律と裁判を維持する、ハンニバルはカンパニアに300人のローマ捕虜を送り、シチリア島で捕虜になったカンパニア人と交換するという内容で合意しました。

しかし、ハンニバルとの同盟に反対した人々は追放され、キュレネに到着した時点でプトレマイオス朝のファラオであるプトレマイオス4世に保護され、ローマに送り返されました。一方、ハンニバルはカプアに入城し、指導者や裕福な市民の歓迎を受けました。

カプア周辺での戦闘

ハンニバルはカプアとの同盟を結んだ後、カンパニアでの作戦を再開しましたが、ネオポリスの攻略は失敗に終わりました。続いて、無抵抗での降伏を期待して軍をノラに向けましたが、マルクス・クラウディウス・マルケッルスに阻止されました。ハンニバルはノラの攻略を諦め、ヌケエリアを略奪して火を放ちました。その後、ハンニバルはアケラを攻撃しましたが、市民のローマに対する忠誠心が強く、攻城戦を開始しました。しかし、街の防御は不十分であり、多くの市民が夜中に脱出し、近隣の都市に逃げ込みました。

カプアでの休息と「カプアの堕落」

リウィウスによると、ハンニバルは冬の間、ほとんどの部隊をカプアに駐屯させました。長い間戦場の厳しい環境に耐えてきたカルタゴ兵は、都市での生活に慣れていませんでした。リウィウスは軍の規律が緩んだとしてカルタゴ軍がカプアで冬を過ごしたことを批判していますが、現代の歴史家はこれを疑問視しています。しかし、ハンニバルの兵士達がカプア市民の温かい歓迎を楽しんで休息することができたのは事実です。

包囲戦の開始とハンニバルの介入

紀元前212年、ローマ軍はカプアを包囲しました。カプアはハンニバルに使者を派遣し、食料を運び込んでくれるよう依頼しました。ハンニバルはブルティウムのハンノに食料を運ぶように命令しましたが、ローマ軍に敗北しました。その後、ハンニバル自身がカプアへ向かい、ローマ軍と戦闘を行いましたが、決定的な勝利を得ることはできませんでした。

ローマへの進軍とカプアの降伏

カプアを救うために、ハンニバルはローマに進軍しましたが、ローマ軍はカプアの包囲を解きませんでした。ハンニバルがカプアに戻らないと知ったカプアは、ついにローマに降伏しました。ローマはカプアの貴族を処刑し、都市の自治権を奪いました。

包囲戦の影響

カプアの陥落は、ローマに対する反乱を企てた他の都市に衝撃を与えました。ハンニバルの立場はますます困難になり、多くの同盟都市を見捨てざるを得なくなりました。

カプア包囲戦は、第二次ポエニ戦争におけるローマの粘り強さと戦略、そしてハンニバルの苦境を象徴する出来事となりました。

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