カライスとゼーテース

カライスとゼーテースの冒険

カライス（古希: Κάλαϊς, Kalais）とゼーテース（古希: Ζήτης, Zētēs）はギリシア神話に名を残す有翼の兄弟英雄です。彼らは北風の神ボレアースとアテーナイ王エレクテウスの娘オーレイテュイアの子供であり、兄弟にはクレオパトラーやキオネーがいます。両名ともアルゴナウタイの一員として、多くの冒険を共にしましたが、特にトラーキアでのハルピュイア退治の物語が彼らの名を有名にしています。

ハルピュイア退治の経緯

アルゴナウタイの冒険において、彼らはボスポラス海峡という難所を通過する必要がありました。この際に、盲目の予言者であるサルミュデーソスの王ピーネウスの助けが求められましたが、王は常に食事時に現れる二羽のハルピュイアに悩まされていました。ハルピュイアは、食物を荒らし続けたことから、王は衰弱しきって涙ながらに英雄たちに助けを求めたのです。

イアーソーン率いるアルゴナウタイはこの依頼を快諾し、食事の準備をサポートするため、食卓の下に隠れることにしました。すると、予想通り耳障りな鳴き声と共にハルピュイアが現れ、食卓を荒らし始めました。イアーソーンが合図を出すと、屈強な英雄たちが一斉に飛び出し、ハルピュイアを追跡しました。

しかしハルピュイアたちは速さと飛翔能力で逃げる決意をし、上空に避難しました。しかし、カライスとゼーテースの若き兄弟は、持ち前の速さを活かし、二羽のハルピュイアに挑みました。彼らは飛ぶことに長けており、仲間たちとは異なり、武装の重さにまどわされることはありませんでした。長時間にわたり追い続け、ついに疲弊したハルピュイアを捕えることに成功しました。

捕獲されたハルピュイアは命乞いをし、姉妹を思う気持ちから虹の女神イーリスが彼らのために仲介に入ります。イーリスは、彼女たちが王の食卓を荒らさないことを条件に、命を助けるよう提案しました。この結果、王は久々の食事を取り戻し、元気を取り戻しました。

冒険を終えた後

王は感謝の意を示し、その後の航海での指針として、鳩を利用した方法で試験をするよう忠告しました。この助言は、アルゴナウタイの成功に大いに貢献したことでしょう。王は二人の英雄を命の恩人として歓待し、彼らへ祝福を送る姿が印象的です。

しかし運命は残酷です。彼らはアルゴナウタイとしての数々の冒険を経た後、ヘーラクレースの恨みにより、共に命を落とす運命にあります。彼らの勇敢なストーリーは、神話の中で忘れられないものとして語り継がれています。

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