クレオパトラー

クレオパトラーについての考察

クレオパトラー（古希: Κλεοπάτρα, Kleopatrā）は、ギリシア神話の中でいくつかの異なる女性たちを指す名です。この名前を持つ登場人物は、多様な背景と物語を持ち、古代のギリシア文化において重要な役割を果たしています。代表的なクレオパトラーとしては、ボレアースの娘、メレアグロスの妻、ロクリスの女性などがあります。

ボレアースの娘、クレオパトラー

まず、ボレアースの娘としてのクレオパトラーですが、彼女はアテーナイ王エレクテウスの娘オーレイテュイアと北風の神ボレアースの子供です。姉妹にはキオネー、兄弟にはゼーテースとカライスがいます。彼女はピーネウスの妻であり、彼との間に2人の息子をもうけました。しかし、彼女の子供たちは悲劇的な運命に直面します。ピーネウスの後妻イーダイアーが二人の息子に対して嘘をつき、彼女たちは盲目にされることになりました。

メレアグロスの妻としてのクレオパトラー

次に、メレアグロスの妻であるクレオパトラーについてです。彼女はイーダースとマルペーッサの子で、メレアグロスの妻として知られています。ヒュギーヌスの作品では、彼女は「アルキュオネー」としても知られています。メレアグロスはクレオパトラーと結婚していましたが、アタランテーに恋をし、カリュドーンの猪の毛皮を彼女に届けようとします。これにより、彼は母アルタイアーの兄弟たちとの争いを引き起こし、その結果、命を落としました。メレアグロスの死はクレオパトラーを絶望させ、彼女もまた自ら命を絶つことになりました。

ロクリスの女性としてのクレオパトラー

もう一つのクレオパトラーは、ロクリスの出身で、トロイア戦争後にアテーナーに許しを請うためにトロイアに送られた女性の一人です。トロイア戦争から帰還したロクリス人たちが疫病の流行に見舞われ、多くの人々が命を落としました。疫病の原因は女神アテーナーの呪いとされ、神託に従い千年間にわたり2人の処女をトロイアに送るかたちになりました。その結果、クレオパトラーとペリボイアが選ばれました。

ここでの伝説は非常に悲劇的です。彼女たちはトロイアに着くと、民衆に追われることとなり、神殿に逃げ込んで女神に仕えるか、または殺害されたともできます。このように、クレオパトラーという名を持つ女性たちは、それぞれ異なる物語と運命を背負い、古代ギリシアの神話には欠かせない存在となっています。

参考文献

• - アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫（1953年）
• - ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫（2005年）
• - パウサニアス『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎（1991年）
• - 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店（1960年）

関連項目

• - 小アイアース

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