カラフル・クリーム
クリームによるセカンド・フルアルバム『ディズレーリ・ギアーズ』（Disraeli Gears）は、1967年11月に世界へ送り出されました。この作品は、彼らがそれまで探求してきたブルースロックのサウンドから一歩進み、より色彩豊かでサイケデリックな世界観を表現したことで知られています。商業的にも大きな成功を収め、本国イギリスではアルバムチャートで最高5位を記録。特にアメリカではバンドにとって初めてのヒットとなり、最高4位にランクインするなど、その名を広く知らしめるきっかけとなりました。オーストラリアでは2週間にわたって首位を独占し、米キャッシュボックス誌では1968年の年間最優秀アルバムに選ばれるなど、世界的な評価を獲得した作品です。
アルバムのユニークなタイトルは、意図的な言葉の誤用、すなわちマラプロピズムに由来しています。バンドメンバー、特にエリック・クラプトンとジンジャー・ベイカーが競技用自転車の変速機（ディレイラー・ギア）について話していた時のこと。その場に居合わせたローディーのミック・ターナーが、その単語を19世紀のイギリス首相ベンジャミン・ディズレーリの名前と混同し、「ディズレーリ・ギアを届けた」と発言しました。この思いがけない間違いをメンバーが面白がり、次作のアルバム名に採用したと伝えられています。
本作のレコーディングは、1967年3月下旬から4月上旬にかけて、ニューヨークのアトランティック・スタジオで行われました。これは、彼らがマレー・ザ・K主催の連続コンサートに出演した後に行われたものです。プロデューサーには、ニューヨークを拠点に活躍していたフェリックス・パパラルディ、エンジニアにはアトランティック・レコードのベテラン、トム・ダウドが起用されました。アトランティックのオーナーであるアーメット・アーティガンも制作に関与しています。驚くべきことに、ダウドによればレコーディング作業はわずか3日半という短期間で完了しました。メンバーの米国滞在ビザの有効期限が切れる直前に、文字通り駆け込みで完成させたセッションでした。
『ディズレーリ・ギアーズ』は、クリームのサウンドを初期のストレートなブルースから、より複雑でサイケデリックな方向へと推し進めた作品です。ブルースの影響が最も色濃く残るのは「テイク・イット・バック」で、これはハウリン・ウルフの「アウトサイド・ウーマン・ブルース」を翻案した楽曲です。作詞を担当したジャック・ブルースは、徴兵通知書を焼き捨てたアメリカの学生に触発されたと述べています。オープニングを飾る「ストレンジ・ブルー」は、12小節ブルースの定番である「ロウディ・ママ」を基盤としつつ、アルバート・キングを彷彿とさせるエリック・クラプトンのギターソロがフィーチャーされています。
アルバムのアートワークは、クラプトンと同じくチェルシーに住んでいたオーストラリア人アーティスト、マーティン・シャープが手掛けました。シャープは続くアルバム『クリームの素晴らしき世界』でもアートワークを担当し、「英雄ユリシーズ」や「エニイワン・フォー・テニス」といった楽曲の歌詞も提供しています。カバーに使用されたバンドメンバーの写真は、ビートルズの写真家としても有名なボブ・ウィテカーが撮影しました。フロントカバーは鮮やかなサイケデリック調のコラージュで構成され、中央にアルバムタイトルとバンド名が配され、周囲を花々が取り囲むデザインとなっています。シャープはこのアートワークで、アルバムのサウンドを「暖かく光り輝くサウンド（warm florescent sound）」と表現しようと試みました。この象徴的なカバーアートは、後に彼らのコンピレーション盤『ゾーズ・ワー・ザ・デイズ』にも使用されています。
本作は発表から時を経て、その音楽史における重要性が再認識されています。1999年にはグラミーの殿堂入りを果たし、後世に語り継がれるべき名盤としての地位を確立しました。音楽メディアからの評価も高く、ローリング・ストーン誌が選ぶ「史上最も偉大なアルバム500枚」（2003年版）では114位に、VH1の「オールタイム・グレーテストアルバム」（2001年版）では87位にランクインしています。また、2008年にはクラシック・ロック・アワーズも受賞しています。
オリジナル盤は11曲を収録していましたが、1998年にはリマスターされたバージョンがリリースされ、オリジナルのアートワークと共にボーナスの写真が収められました。さらに2004年には、モノラル・ミックスや未発表のデモ音源、別テイク、BBCラジオでのセッション音源などを網羅した2枚組のデラックス・エディションが登場し、ファンに更なる多様な音源を提供しています。
アルバムタイトルに込められたユーモア
アルバムのユニークなタイトルは、意図的な言葉の誤用、すなわちマラプロピズムに由来しています。バンドメンバー、特にエリック・クラプトンとジンジャー・ベイカーが競技用自転車の変速機（ディレイラー・ギア）について話していた時のこと。その場に居合わせたローディーのミック・ターナーが、その単語を19世紀のイギリス首相ベンジャミン・ディズレーリの名前と混同し、「ディズレーリ・ギアを届けた」と発言しました。この思いがけない間違いをメンバーが面白がり、次作のアルバム名に採用したと伝えられています。
制作の舞台裏
本作のレコーディングは、1967年3月下旬から4月上旬にかけて、ニューヨークのアトランティック・スタジオで行われました。これは、彼らがマレー・ザ・K主催の連続コンサートに出演した後に行われたものです。プロデューサーには、ニューヨークを拠点に活躍していたフェリックス・パパラルディ、エンジニアにはアトランティック・レコードのベテラン、トム・ダウドが起用されました。アトランティックのオーナーであるアーメット・アーティガンも制作に関与しています。驚くべきことに、ダウドによればレコーディング作業はわずか3日半という短期間で完了しました。メンバーの米国滞在ビザの有効期限が切れる直前に、文字通り駆け込みで完成させたセッションでした。
音楽性の変化と代表曲
『ディズレーリ・ギアーズ』は、クリームのサウンドを初期のストレートなブルースから、より複雑でサイケデリックな方向へと推し進めた作品です。ブルースの影響が最も色濃く残るのは「テイク・イット・バック」で、これはハウリン・ウルフの「アウトサイド・ウーマン・ブルース」を翻案した楽曲です。作詞を担当したジャック・ブルースは、徴兵通知書を焼き捨てたアメリカの学生に触発されたと述べています。オープニングを飾る「ストレンジ・ブルー」は、12小節ブルースの定番である「ロウディ・ママ」を基盤としつつ、アルバート・キングを彷彿とさせるエリック・クラプトンのギターソロがフィーチャーされています。
アートワークの世界
アルバムのアートワークは、クラプトンと同じくチェルシーに住んでいたオーストラリア人アーティスト、マーティン・シャープが手掛けました。シャープは続くアルバム『クリームの素晴らしき世界』でもアートワークを担当し、「英雄ユリシーズ」や「エニイワン・フォー・テニス」といった楽曲の歌詞も提供しています。カバーに使用されたバンドメンバーの写真は、ビートルズの写真家としても有名なボブ・ウィテカーが撮影しました。フロントカバーは鮮やかなサイケデリック調のコラージュで構成され、中央にアルバムタイトルとバンド名が配され、周囲を花々が取り囲むデザインとなっています。シャープはこのアートワークで、アルバムのサウンドを「暖かく光り輝くサウンド（warm florescent sound）」と表現しようと試みました。この象徴的なカバーアートは、後に彼らのコンピレーション盤『ゾーズ・ワー・ザ・デイズ』にも使用されています。
後年の評価と再リリース
本作は発表から時を経て、その音楽史における重要性が再認識されています。1999年にはグラミーの殿堂入りを果たし、後世に語り継がれるべき名盤としての地位を確立しました。音楽メディアからの評価も高く、ローリング・ストーン誌が選ぶ「史上最も偉大なアルバム500枚」（2003年版）では114位に、VH1の「オールタイム・グレーテストアルバム」（2001年版）では87位にランクインしています。また、2008年にはクラシック・ロック・アワーズも受賞しています。
オリジナル盤は11曲を収録していましたが、1998年にはリマスターされたバージョンがリリースされ、オリジナルのアートワークと共にボーナスの写真が収められました。さらに2004年には、モノラル・ミックスや未発表のデモ音源、別テイク、BBCラジオでのセッション音源などを網羅した2枚組のデラックス・エディションが登場し、ファンに更なる多様な音源を提供しています。
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