カリギュラ (映画)

映画『カリギュラ』（Caligula）

『カリギュラ』は1980年、イタリアとアメリカの合作で制作された映画です。ボブ・グッチョーネが46億円という巨費を投じ、ローマ帝国の暴君カリギュラの放縦と残虐さを描いた作品ですが、内容はハードコア・ポルノとしても評価されています。本記事では、2024年に公開された『カリギュラ：アルティメット・カット』についても言及します。

概要

監督はティント・ブラスが務め、主演はマルコム・マクダウェルがカリギュラ役を演じるなど、豪華なキャスト陣が揃いました。また、脚本にはゴア・ヴィダルが関与し、歴史的なテーマ性が強調されています。しかし、撮影現場はトラブル続きで、後に追加されたポルノシーンはペントハウスのモデルたちが参加したもので、主要キャストは関わっていませんでした。実は、出演者にはこの内容がポルノ映画になることが伝えられていなかったのです。公開後は批評家から酷評を受けつつも、興行的には成功を収め、日本でも「カリギュラ効果」という言葉が生まれるほどでした。

その後、ビデオやDVDではポルノシーンを削除し、ブラスの当初の意図に近い版がリリースされました。2018年にはドイツの監督アレクサンダー・トゥシンスキーによる復元版の制作が発表されましたが、実現には至りませんでした。

あらすじ

物語は、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの曾孫であるカリギュラが、愛人である妹ドルシラと穏やかに暮らしているところから始まります。しかし、成人を迎えた彼は、言うまでもなく異常な性癖を持つ暴君ティベリウスの元へ呼び出され、その行動に驚愕します。彼はティベリウスの衰退と異常性愛を目の当たりにし、恐れと興味を持ちます。ティベリウスはカリギュラを後継者として計画していましたが、次々と障害が立ちはだかります。

カリギュラは次第に権力に目を奪われ、妹との結婚や親衛隊長を処刑するなど、さらに残虐性を増していきます。彼は最愛の妹ドルシラを失った際、悲しみに打ちひしがれながらも神を名乗り、周囲に暴政を及ぼしていくことになります。この物語は権力と腐敗、暴君の狂気を描いたものです。

製作背景

基本的にはペントハウス社が資金提供しており、自社の映画製作が初めてだったのです。グッチョーネは歴史的な内容にこだわり、最初は別の脚本家を起用しますが最終的にはゴア・ヴィダルが手掛けることになります。しかし、ヴィダルの脚本はグッチョーネによって大幅に修正され、内容が変わってしまうことに対し、ヴィダルは強く反発します。撮影と編集の過程で、彼自身が意図したテーマはあまり表現されませんでした。

キャストとスタッフ

映画には多くの著名な俳優が参加しており、マルコム・マクダウェル、ピーター・オトゥール、ヘレン・ミレンなどが揃いました。それぞれが強い個性を持ったキャラクターを演じ、クライマックスの残虐性を描写しました。
また、撮影もトラブル続きで、俳優同士の不和や撮影現場の雰囲気が悪化することもあったとされています。これにより、映像の質も影響を受けましたが、最終的な完成度は観客に強烈な印象を与えるものとなりました。

公開とその後

1979年に公開された本作は、特異な内容により多くの議論を呼び起こしました。評価は分かれましたが、特に成人向け映画としての側面が強調され、多くの人々の間でセンセーショナルな反応を引き起こしました。2024年に公開される『カリギュラ：アルティメット・カット』は、当初の意図に近い形で再構築され、再評価の機会を提供しています。この新たな形で、古代ローマの権力と道徳的堕落の叙事詩が新たに顕現することでしょう。

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