カルス (都市)

カルスの概要

トルコ北東部にあるカルスは、カルス県の中心都市で、アルメニアとの国境からほんの45キロという距離に位置しています。人口は2011年時点で73,836人で、トルコにおける重要な都市の一つです。その名は、古い文献によると「門」を意味するグルジア語「კარი（kari）」に由来するという説や、アルメニア語の「花嫁」を示す「հարս（hars）」から来ている可能性があります。

歴史的背景

カルスの歴史は非常に古く、9世紀から10世紀にかけてバグラトゥニ朝の首都として栄えました。この時期、アショト2世が治める中で首都が強化され、カルス大聖堂が建立されました。しかし961年に首都がアニに移ると、カルスはVanandという独立王国の中心となります。1064年にはセルジューク朝の支配下に入りますが、その後も多くの戦争を経て、様々な国や民族の影響を受けてきました。

近世から現代

19世紀に入ると、カルスは露土戦争の結果、オスマン帝国からロシア帝国に渡る時代を迎えます。1877年から1878年の露土戦争では再びロシアに占領され、その後サン・ステファノ条約によりロシア領となることが決定されました。第一次世界大戦中、カルスは再度オスマン帝国に占領される一方で、1918年にはアルメニアに一時も属しますが、最終的にはトルコによって占領され、1921年にはカルス条約によってトルコの領土として確定しました。

地理的特徴と気候

カルスは湿潤大陸性気候に属し、夏と冬の気温差が大きいことが特徴です。特に冬の寒さは厳しく、1月には平均最低気温が摂氏マイナス16度に達します。温暖な夏の夜は涼しく、過ごしやすい環境が整っています。このような気候条件が、この地の生活や文化に影響を与えています。

交通アクセス

カルスは、南西のエルズルムと結ぶ幹線道路があります。また、カルス空港があり、定期便でイスタンブールやアンカラへのアクセスが可能です。さらに、鉄道網も整備されており、カルス駅を通じてエルズルムと結ぶ路線があります。

教育と文化

カルスには1992年に設立されたカフカス大学があり、教育機関としての役割を果たしています。文学や音楽など多様な文化が栄え、ロシア作曲家のムソルグスキーによる『カルスの奪還』のような作品も生まれました。地元の著名な作家や芸術家たちがこの土地から輩出されています。

現代の課題

1993年以来、ナゴルノ・カラバフ戦争の影響で、トルコとアルメニアの国境は閉ざされています。さらに、人口流出も顕著で、地域の経済は影響を受けています。地元住民は国境開放を望む声もありますが、依然として難しい状況が続いています。

このようなカルスの歴史、文化、現状は、単なる地理的な特徴を超え、豊かで複雑な物語を語っています。

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