カルス県

カルス県は、トルコ共和国の北東部、東アナトリア地方に位置する県です。県都はカルス市であり、北はアルダハン県、西はエルズルム県、南はアール県とウードゥル県に隣接し、東はアルメニアとの国境となっています。この地域は歴史的に様々な文化の影響を受けてきた場所であり、その多様性が現在のカルス県を形作っています。

歴史

カルス県は、かつてオスマン帝国の領土であり、カルス州やチルディル州の一部でした。しかし、1877年から1878年の露土戦争後、サン・ステファノ条約とベルリン条約によってロシア帝国に割譲され、カルス州として統治されました。この間、この地域はロシア帝国の影響を強く受けることになります。1918年から1920年の間には、第一次世界大戦とロシア革命の混乱の中でアルメニア第一共和国のヴァナンド県となりました。その後、ロシア社会主義連邦ソビエト共和国とトルコ大国民議会との間で締結されたカルス条約によって、1920年にトルコ共和国領となることが確定しました。

1990年代までは、現在のアルダハン県とウードゥル県もカルス県に含まれていましたが、後にこれらの地域はそれぞれ独立した県として分割されました。この分割により、カルス県は現在の行政区画となりました。

下位自治体

カルス県には、以下の8つの下位自治体があります。

カルス (Kars)
アキヤカ (Akyaka)
アルパチャイ (Arpaçay)
ディゴル (Digor)
カイズマン (Kağızman)
サルカミシュ (Sarıkamış)
セリム (Selim)
ススズ (Susuz)

これらの自治体は、それぞれが異なる歴史や文化を持ち、カルス県の多様性を構成しています。

遺跡

カルス県には、古代から中世にかけての歴史的遺産が数多く存在します。特に有名なのは、古代アルメニアの首都であったアニ遺跡です。アニ遺跡は、かつて繁栄した都市の壮大な遺跡であり、その美しい建築物や装飾は訪れる人々を魅了します。また、9世紀頃に建てられたとされる使徒の教会も、この地域におけるキリスト教の歴史を物語る重要な遺産です。これらの遺跡は、かつてトルコ領となった際に破壊されようとした形跡が見られますが、近年では政府が観光資源としてこれらの遺産の保存に力を入れています。

交通

カルス県は、鉄道網が整備されており、特にバクー＝トビリシ＝カルス鉄道は、アゼルバイジャン、ジョージア、トルコを結ぶ重要な国際路線です。この鉄道は、カルス県のカルツァヒからカルスまでの区間が路線の一部となっており、地域経済の発展にも貢献しています。この路線は、国際的な輸送ルートとしても重要であり、地域間の交流を促進する役割も担っています。

カルス県は、その豊かな歴史と多様な文化、そして美しい自然景観が魅力的な地域です。歴史的な遺跡を巡る旅や、鉄道を利用した国際旅行など、様々な楽しみ方ができるこの地域は、近年ますます観光地として注目を集めています。

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