エルズルム

トルコ・エルズルム：歴史と自然が織りなす都市

エルズルムは、トルコ東部に位置するエルズルム県の県都です。2010年時点の人口は約36万人。黒海とイランを結ぶ古来からの交易路の中継地として栄え、現在も交通・物流の要所として重要な役割を担っています。標高約1800メートルの高地にあるため、年間を通して冷涼な気候が特徴です。夏は暖かく、日中30度を超える日もありますが、冬は極寒で、-30度を下回ることも珍しくありません。この厳しい気候は、エルズルムの歴史にも深く関わっています。

歴史：古代から現代まで

エルズルムの歴史は古く、東ローマ帝国時代にはテオドシオポリスと呼ばれていました。415年頃、東ローマ皇帝テオドシウス2世によって築かれた都市は、絹の道の途上に位置し、交易と軍事戦略上重要な拠点となりました。そのため、多くの勢力がエルズルムを支配しようと争奪戦を繰り広げました。サーサーン朝ペルシア、イスラーム勢力、セルジューク朝など、様々な勢力がエルズルムを支配下に置いた歴史があります。

11世紀以降、セルジューク朝、ルーム・セルジューク朝、イル・ハン朝と支配者が移り変わります。1515年にはオスマン帝国の支配下に入り、19世紀にはロシア帝国の南下政策によって幾度となく攻撃を受けました。ギリシア独立戦争やクリミア戦争、露土戦争など、エルズルムは幾多の戦乱を経験しました。第一次世界大戦中もロシア軍によって一時占領され、アルメニア人虐殺やムスリム住民への虐殺といった悲劇も発生しました。

トルコ共和国建国後も、エルズルムは重要な役割を果たしました。1919年にはエルズルム会議が開催され、トルコ独立戦争における重要な決定がなされました。冷戦期にはNATOの重要な軍事拠点として「The Rock」と呼ばれ、ソ連との対立の最前線に位置していました。1980年代には大地震による甚大な被害も経験しています。1993年には大都市自治体に指定され、2012年にはエルズルム県と大都市自治体の範囲が同一になりました。

文化・観光：歴史的建造物とウィンタースポーツ

エルズルムには、多くの歴史的建造物が残されています。11世紀に建てられたウル・ジャミイ（最古のモスク）、12世紀に建てられたチフテ・ミナーレ・メドゥレセスィ（二つの尖塔を有するマドラサ）、16世紀に建てられたララ・ムスタファパシャ・ジャミイなど、セルジューク朝時代の建築様式が色濃く残る建造物は必見です。1957年にはアタテュルク大学が開設され、学生の街としても知られています。

また、高地にあるエルズルムはウィンタースポーツが盛んです。2011年には冬季ユニバーシアードが開催され、その高いポテンシャルを示しました。パランデケン山など、スキーやスノーボードを楽しむことができる施設も整備されています。スュペル・リグのBBエルズルムスポルも本拠地を置いており、スポーツの街としても注目されています。

交通：アクセス

エルズルムは、首都アンカラやアルメニアと鉄道で繋がっています。バス路線も整備されており、トルコ各地へのアクセスが容易です。空港も擁し、トルコ空軍も利用しています。

まとめ

エルズルムは、歴史と自然が調和した魅力あふれる都市です。長い歴史の中で幾多の困難を乗り越え、現在も発展を続けるエルズルムは、トルコ東部の重要な拠点として、その存在感を示し続けています。歴史的建造物、ウィンタースポーツ、そして活気ある都市生活を体感できるエルズルムは、トルコ旅行の新たな目的地としておすすめです。

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