カルタゴ・ノウァの戦い (紀元前209年)

カルタゴ・ノウァの戦い

カルタゴ・ノウァの戦いは、第二次ポエニ戦争後期に、大スキピオ率いるローマ軍がヒスパニアにおけるカルタゴ勢の本拠地カルタゴ・ノウァを攻撃し、陥落させた戦いです。この戦いは、大スキピオがヒスパニアで初めてカルタゴ勢を破った戦いであり、紀元前211年のバエティス川の戦いで失われたローマの勢力を回復する上で重要な意味を持ちます。

背景

第二次ポエニ戦争の初期段階では、ヒスパニアにおいてローマ軍は苦戦を強いられていました。紀元前211年のバエティス川の戦いでは、ハスドルバルの軍勢によってグナエウス・コルネリウス・スキピオ・カルウスとプブリウス・コルネリウス・スキピオ率いるローマ軍が壊滅的な打撃を受けます。この事態を打開するため、ローマ元老院はガイウス・クラウディウス・ネロを派遣しますが、ハスドルバルを捕らえることができませんでした。そこで元老院は、プブリウス・コルネリウス・スキピオの息子である大スキピオをヒスパニアに派遣することを決定します。

スキピオは、ヒスパニアにおけるローマ軍の本拠地タッラコ（現在のタラゴナ）に到着後、ユニウス・シレヌスに本拠地を任せます。そして自らは、早春に3万の兵力と副将レリウスが率いる30隻の軍船を率いて、カルタゴ勢のヒスパニアにおける拠点であるカルタゴ・ノウァに向けて進軍を開始しました。

戦闘の経過

タッラコを出発してから10日後、スキピオはカルタゴ・ノウァに到着しました。彼は、到着したその日の夕方にもかかわらず、陣営の建設よりも先にカルタゴ・ノウァを陸上から封鎖するための包囲網を構築させます。一方、海側はレリウス率いる軍船によって封鎖され、カルタゴ・ノウァに残された唯一の脱出経路は、北側に存在する干潟のみとなりました。この干潟は、条件が良ければ徒歩で渡ることが可能でしたが、カルタゴ側はローマ軍がここから攻めてくるとは予想していませんでした。

翌朝、陸上側の城壁を巡って戦闘が開始されると同時に、スキピオは2千の兵を率いて北側の干潟を渡り、カルタゴ・ノウァに奇襲を仕掛けます。この予期せぬ攻撃にカルタゴ側は大混乱に陥り、総崩れとなりました。同時に、陸上側の城壁もローマ軍によって突破され、カルタゴ側は抵抗を断念し、降伏しました。

戦後

カルタゴ・ノウァを占領したスキピオは、都市の指導者層を除き、住民を捕虜とせず、一部の住民を工兵としてローマ軍に協力させました。また、スキピオは、武器の改良にも着手します。ヒスパニアの先住民が使用していたFalcata（ファルカタと呼ばれるスペインの剣）に着目し、これをグラディウス・ヒスパニエンシスとしてローマ軍に導入しました。さらに、兵士の訓練を熱心に行い、その後のカルタゴ軍との戦いに備えました。

カルタゴ・ノウァの戦いの勝利は、スキピオのアフリカ侵攻と第二次ポエニ戦争の最終的な勝利への足がかりとなりました。

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