カルチナートの戦い

カルチナートの戦い：1706年、ロンバルディアを揺るがした激戦

カルチナートの戦いは、スペイン継承戦争中、1706年4月19日に現在のイタリア・ロンバルディア州ブレシア県カルチナートで繰り広げられました。この戦いは、オーストリア軍とフランス軍の間で発生し、戦局に大きな影響を与えました。

戦いの背景

1706年1月、フランス軍はニースを占領し、サヴォイア公ヴィットーリオ・アメデーオ2世は身動きが取れない状況に陥っていました。フランス軍を率いるヴァンドーム公は、ピエモンテとロンバルディアの繋がりを断ち、戦局を有利に進めるため進軍を開始します。一方、オーストリア軍は司令官プリンツ・オイゲンが不在で、デンマークの将軍レーヴェントローが指揮を執っていました。

戦闘の経過

4月19日、ヴァンドーム公はオーストリア軍の陣営に奇襲を仕掛け、オーストリア軍に甚大な損害を与え、ロンバルディアからの撤退を余儀なくさせました。敗れたオーストリア軍はチロル方面へ退却し、翌日到着したプリンツ・オイゲンは軍の再編成に尽力することになります。

戦いの影響

カルチナートの戦いの後、ロンバルディアはフランス軍によって平定され、サヴォイアの首都トリノもフランス軍に包囲されるなど、戦局はフランス有利に傾きました。しかし、その年の5月にラミイの戦いでフランス軍が敗北したため、ヴァンドーム公はネーデルラントへ転任となります。これにより、プリンツ・オイゲンはトリノへ向かい、都市の奪還を目指して進軍を開始しました（トリノの戦い）。

カルチナートの戦いは、スペイン継承戦争における一局面に過ぎませんが、その後の戦局に大きな影響を与えた重要な戦いでした。フランス軍の勝利は束の間に終わり、プリンツ・オイゲンの活躍によって、トリノは奪還されることになります。

参考文献
友清理士『スペイン継承戦争 マールバラ公戦記とイギリス・ハノーヴァー朝誕生史』彩流社、2007年。
デレック・マッケイ著、瀬原義生訳『プリンツ・オイゲン・フォン・サヴォア-興隆期ハプスブルク帝国を支えた男-』文理閣、2010年。

もう一度検索