カルバラ第5号作戦
カルバラ第5号作戦の詳細
カルバラ第5号作戦は、1987年に行われたイラン・イラク戦争中の重要な軍事行動であり、その目的はイラクの要所であるバスラ市の占領でした。この作戦は、これまでのヴァル・ファジュル作戦から名称を変えて実施され、シーア派の聖地であるカルバラーに由来しています。
概要
イラン軍は1986年末にカルバラ第4号作戦を実施しましたが、これはわずか2日間で失敗に終わりました。その結果、イランは再びバスラへの攻撃を計画し、迅速に次の作戦を立ち上げる必要がありました。既に前作戦でシャッタルアラブ川沿いの中州の一部を占領しており、その後方からイラク軍への攻撃を仕掛ける体制が整っていました。
攻撃の開始
1987年1月8日、その夜、イラン軍は国軍と革命防衛隊からなる約150,000人の兵士を動員し、シャラムチェ地区から攻撃を開始しました。今回は少数ながら戦車とAH-1 コブラによる航空支援も行われました。ただし、主力は依然として軽歩兵であり、迫撃砲やロケット砲による火力支援を受けての攻撃となりました。土を掘り進めて陣地を構築しつつ、イラン軍は確実に前進を続けました。
イラク軍の反撃と戦況の変化
1月10日には、イラク軍が猛烈な砲撃を仕掛け、空軍も空爆を行いました。しかし、イラン軍は第11師団の展開区を確保し、救援に来たイラク軍の一部を撃破しました。この戦闘においても多くの敵指揮官を倒すことに成功しました。
1月13日には、カルバラ第6号作戦が中部戦線で開始され、さらに1月19日にはシャッタルアラブ川の占領を完全に達成。魚の湖での戦闘は激しさを増し、イラク軍の防御線は徐々に侵食されていきました。1月22日にジャシム運河を渡河に成功し、さらに進撃が続きました。
最終局面
1月24日には、ついにイラク軍第11旅団の主要陣地が壊滅し、これによりイラン軍は魚の湖東岸の控制を得ました。この戦闘での兵力動員は1日あたりおよそ60万人に達し、ヘリコプター部隊による支援も功を奏しました。しかし、1月28日にイラク軍が反撃を開始し、ついにイラン軍の進撃は止まりました。
2月26日、イランの国営通信はカルバラ第5号作戦が終了したと報じ、この作戦の影響と評価は大きな議論を呼びました。
その後の影響
この作戦によって、革命防衛隊には深刻な損害が生じました。特に約半数の師団が壊滅し、イラン軍は再び効果的な攻撃を模索することなく、無秩序な波状攻撃に終始しました。その結果、動員された戦力は急速に消耗し、挙句の果てに国防予算が大幅に増大しました。
イランは資金面でも厳しい状況に見舞われ、外貨と金、外国預金が限られていたため、もうこれ以上の大規模な攻勢を実施することは難しい状況となっていました。また、戦死者も多く、人材の喪失はイラン軍にとって致命的でした。これにより、戦争の行方にも大きな影響が及ぶこととなります。
参考文献
関連項目
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