カルロ・エマヌエーレ1世

カルロ・エマヌエーレ1世・ディ・サヴォイア（1562年1月12日 - 1630年7月26日）は、サヴォイア公、ピエモンテ公、アオスタ伯、モーリエンヌ伯、ニース伯、そして名目上のキプロス王とエルサレム王の称号を保持した、16世紀後半から17世紀前半にかけてのヨーロッパにおける重要な政治家の一人です。通称「イル・グランデ（偉大なる者）」として知られ、その統治はサヴォイア公国の歴史において重要な転換期となりました。彼は、エマヌエーレ・フィリベルト公とフランス王フランソワ1世の娘マルゲリータの子として生まれ、フランス語ではシャルル・エマニュエル1世・ド・サヴォワと呼ばれました。

トリノに宮廷を構えたカルロ・エマヌエーレ1世は、芸術と文化を愛し、建築家、詩人、芸術家などを積極的に支援しました。彼の治世下では、トリノは文化の中心地として栄え、多くの才能が集まりました。特に、彼が自ら出資し建設を主導したヴィコフォルテの聖域は、その壮大な建築と宗教的な重要性から、今日でも多くの人々が訪れる場所となっています。この聖域は、彼の死後、彼の遺体が埋葬された場所でもあります。

カルロ・エマヌエーレ1世は、スペイン王フェリペ2世の娘カテリーナ・ミケーラと結婚し、10人の子供をもうけました。この結婚は、サヴォイア公国とスペイン王国の間の関係を深める上で重要な役割を果たしました。彼らの子供たちは、それぞれがヨーロッパの歴史において重要な役割を担いました。

長男のフィリッポ・エマヌエーレは早世しましたが、次男のヴィットーリオ・アメデーオ1世は父の後を継いでサヴォイア公となり、その統治を継承しました。三男のエマヌエーレ・フィリベルトはシチリア副王を務め、四男のマウリツィオは枢機卿となり、教会で重要な地位を占めました。

娘たちもまた、名門貴族と結婚し、ヨーロッパの政治と社会に影響を与えました。マルゲリータはマントヴァ公フランチェスコ4世・ゴンザーガと結婚し、イザベッラはモデナ公アルフォンソ3世・デステと結婚しました。修道女となったマリーア・アポッロニアとフランチェスカ・カテリーナ、そして早世したジョヴァンナを除き、末子のトンマーゾ・フランチェスコはカリニャーノ公となり、後のイタリア王家となるサヴォイア＝カリニャーノ家の祖となりました。

カルロ・エマヌエーレ1世の治世は、サヴォイア公国が政治的にも文化的にも大きく発展した時代であり、彼自身もその卓越した指導力と多才さによって、ヨーロッパ史に名を刻む人物となりました。彼の生涯は、ルネサンスからバロックへの移行期における、ヨーロッパの政治、文化、そして社会の複雑な動きを映し出す鏡と言えるでしょう。

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