カルロ・エマヌエーレ2世

カルロ・エマヌエーレ2世：動乱の時代を生きたサヴォイア公

カルロ・エマヌエーレ2世（1634年6月20日 - 1675年6月12日）は、サヴォイア公、サルッツォ侯、ピエモンテ公など、複数の爵位を保持した人物です。彼は、サヴォイア公ヴィットーリオ・アメデーオ1世とマリーア・クリスティーナの息子としてトリノで生まれました。母マリーア・クリスティーナはフランス王アンリ4世の娘であり、カルロ・エマヌエーレ2世はフランス王家とも血縁関係がありました。

幼少期の即位と摂政政治

兄のフランチェスコ・ジャチントが6歳で夭逝したため、カルロ・エマヌエーレ2世はわずか4歳で公位を継承しました。幼少のため、母マリーア・クリスティーナが摂政として政治を主導しました。この時期は、サヴォイア公国にとって不安定な時期であり、周辺諸国との関係や国内の政治的な対立が複雑に絡み合っていました。

ヴァルド派の迫害

カルロ・エマヌエーレ2世の治世で最も悪名高い出来事の一つは、1655年に発生したヴァルド派の迫害です。この迫害は「大虐殺」と呼ばれるほど残虐なものであり、ジョン・ミルトンはこの事件に触発されてソネット「ピエモンテの虐殺」を執筆しました。また、オリバー・クロムウェルはヴァルド派を支援するためにイングランド軍の派遣を提案するなど、この事件はヨーロッパ全体に大きな影響を与えました。サミュエル・モーランドは、後にこの迫害事件を詳細に記録した「ピエモンテ渓谷の福音主義教会の歴史」を出版しました。

結婚と家族

カルロ・エマヌエーレ2世は生涯で二度結婚しました。最初の結婚は1663年、母方の従妹にあたるフランソワーズ・マドレーヌ・ドルレアンとの間で行われましたが、彼女は結婚の翌年に亡くなり、子供はできませんでした。1665年に、サヴォワ＝ヌムール家のマリー・ジャンヌ・ド・サヴォワ＝ヌムールと再婚し、一男一女をもうけました。

ヴィットーリオ・アメデーオ2世・フランチェスコ: 後にサヴォイア公、サルデーニャ王となる人物
クリスティーナ: 1730年に死去

また、カルロ・エマヌエーレ2世には、以下のような庶子もいました。

ルイーザ・アデライデ: 1701年に死去
ジュゼッペ: 1736年に死去

カルロ・エマヌエーレ2世の治世の評価

カルロ・エマヌエーレ2世の治世は、宗教的な迫害、複雑な政治情勢、そしてヨーロッパ全体の大きな変革期が重なった時代でした。彼の時代は、後のサヴォイア公国の発展に大きな影響を与え、その後のヨーロッパ史を理解する上で重要な時代の一つと言えるでしょう。

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