カレル・ドールマン (空母)

カレル・ドールマン

カレル・ドールマン（Hr. Ms. Karel Doorman, R 81）は、オランダ海軍の航空母艦であり、名前はオランダの名将カレル・ドールマンに由来しています。この艦はオランダ海軍にとって2代目の艦名であり、前身はイギリスから借用されていた護衛空母ナイラナでした。

艦の歴史

この艦は、実際には第二次世界大戦中の1942年12月3日に起工され、1945年1月17日にイギリス海軍のコロッサス級航空母艦「ヴェネラブル」として就役しました。就役後、ヴェネラブルはただちに極東に派遣され、イギリス太平洋艦隊に組み込まれました。戦争が終結するまでの短い期間でしたが、艦は戦争捕虜の帰還に従事するなどの任務にあたりました。

その後、ヴェネラブルはオランダに売却され、1948年5月28日にオランダ海軍において再び「カレル・ドールマン」として就役しました。この艦は当時のオランダ海軍が運用した艦艇の中で最大規模を誇り、海軍の新たな時代を象徴する存在となりました。

近代化改造

カレル・ドールマンはもともと第二次世界大戦におけるレシプロ機向けの設計であったため、1955年から1958年にかけて大規模な近代化改造が実施されました。これにより、飛行甲板は8度の角度を持つアングルド・デッキに改修され、古い油圧カタパルトは新しい蒸気カタパルトに換装されました。改造によって基準排水量は従来の13,600トンから16,000トンに増加し、満載排水量は約20,000トンに達しました。

当初は約30機の搭載機を予定していましたが、設計変更により運用可能な機体数は20機に制限されました。この時期、オランダと同様にブラジルもイギリスからコロッサス級空母「ヴェンジャンス」を購入し、タイトルを「ミナス・ジェライス」として就役させ、同じく近代化改造を実施しました。

航海と任務

1959年初頭、カレル・ドールマンはアメリカのニューポートとフォートローダーデールを訪れ、その後はアンティル諸島にも立ち寄りました。さらに、スコットランドでの海軍訓練にも参加し、多くの経験を積みました。

特筆すべきは1960年の活動で、インドネシアが領有権を主張していたオランダ領ニューギニアへの遠征を行い、地域の安定に寄与しました。この艦の存在は、当時のインドネシアに対する牽制効果を持っていました。

火災と退役

しかし、1968年4月28日には悲劇的な火災が発生し、第一機械室で出火し、さらに船尾機械室にまで火災が広がりました。機関は大きな損壊を受けましたが、元々1970年に引退が予定されていたため、修理は行われず、同年に退役が決定されました。退役後、カレル・ドールマンはアルゼンチンに売却され、艦名を「ベインティシンコ・デ・マヨ」と改名し、自国艦隊に編入されました。

艦載機

初期のカレル・ドールマンではレシプロ機としてホーカー・シーフューリーやフェアリー・ファイアフライが使用されていましたが、近代化改装後にはグラマン・アベンジャーやホーカー・シーホークのようなジェット機が搭載されるようになりました。1960年以降にはアベンジャーはグラマン・トラッカーに変更され、またヘリコプターも運用できるようになっています。

この艦の歴史は、海軍の進化とともに長く印象的なものであり、オランダ海軍の重要な一ページとなっています。

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