カレン民族防衛機構

カレン民族防衛機構（KNDO）

カレン民族防衛機構（Karen National Defence Organisation, 略称: KNDO）は、カレン民族同盟（KNU）の軍事組織を構成する二つの主要な柱の一つです。もう一つは、カレン民族解放軍（KNLA）です。

結成とその初期

KNDOは1947年7月17日に設立されたとされています。その前身はカレン民族同盟防衛機構（KNUDO）として知られ、第二次世界大戦後の不安定な情勢下で急速に悪化した治安に対応するため、カレン族による自衛武装組織として活動を開始しました。設立当初、組織の兵器は主に大戦中にイギリス軍から供給されたものが使用されました。

独立直後の内戦期

1948年1月4日のビルマ連邦独立後、ビルマ共産党（CPB）や人民義勇軍（PVO）が反乱を起こし、さらに国軍からの離反者が反乱勢力に加わったことで、情勢は一層緊迫しました。これに対し、KNDOはマン・バザンの指揮のもと、数百の地区や村の行政権を掌握し、「解放区」を設置しました。また、ソー・ハンター・タムウェが管轄する「デルタ地帯」と、ソー・サンキーが管轄する「東部」という二つの軍管区を設け、組織的な徴兵や兵器の調達を進めました。兵器や機密情報は、当時の国軍内部にいた内通者から提供されたとされています。

同年8月31日、KNDOはモン族の武装組織であるモン民族防衛機構（MNDO）と連携し、タトンとモーラミャインを占拠しました。しかし、この行動はKNU本部の正式な指令に基づかない部隊の独断であったとされています。その後、ソー・バウジーをはじめとするKNU幹部の働きかけにより、政府が少数民族の要望を聴取するための地方自治調査委員会の設置を提案したことを受け、KNDOおよびMNDO部隊は一週間以内に両都市から撤退しました。

当時のKNU議長であったスミス・ダンは、KNDO部隊を平和的に活用することを模索し、ウー・ヌ首相に対して、KNDO部隊への兵器所持許可や、国軍が手薄な地域への駐屯を進言しました。実際に、CPBの部隊がヤンゴン南西部のトウテを占拠した際には、KNDO部隊が国軍の掃討作戦に協力し、その駆逐に成功しました。

しかし、1949年1月30日、インセイン郡区で国軍との武力衝突が発生したことを契機に、KNDOは政府によって非合法組織とされました。このインセインでの戦闘は112日間に及びましたが、最終的にKNDOは撤退を余儀なくされました。

その後の組織再編

1949年6月12日、KNUの指揮下にある軍事組織はコートレイ武装隊（KAF）として再編されました。しかし、KNDOは引き続き農村地帯の実効支配を維持しました。その後、1968年にボー・ミャがKNUの正規軍をカレン民族解放軍（KNLA）として一本化すると、KNDOは正規軍ではなく、予備兵を中心とした村落防衛隊へとその役割を変えました。

さらに、1991年にカレン民族警察軍（KNPF）が設立されると、治安維持任務はKNPFが担うことになり、KNDOはKNU支配下の領土における防衛部隊としての役割を継続することになりました。現在、KNDOの本部はKNUドゥプラヤ地区のコーカレイ郡区に置かれており、その部隊はKNLAの七つの各旅団が管轄する地域に配置されています。各KNDO部隊に対する指揮権は、名目上はKNDO本部が有していますが、実態としては配置されているKNLA各旅団の指揮下で活動しています。

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