カントリー・ジョー・マクドナルド

カントリー・ジョー・マクドナルド：時代を映す歌声

ジョセフ・アレン・マクドナルド、通称カントリー・ジョー・マクドナルドは、アメリカの音楽史に名を刻む歌手です。1942年1月1日にワシントンD.C.で生まれた彼は、1960年代のサイケデリック・ロック・グループ、カントリー・ジョー・アンド・ザ・フィッシュのリードシンガーとしてその名を広く知られるようになりました。

生い立ちと音楽への目覚め

17歳で海軍に徴兵されたマクドナルドは、除隊後にロサンゼルス・シティ・カレッジで学びました。その後、カリフォルニア州バークレーのテレグラフ・アヴェニューでバスキングを始めたことが、彼の音楽キャリアの幕開けとなります。スコットランド長老派教会の流れを汲む父と、ロシア系ユダヤ人移民の娘でバークレー市役所に務めていた母の間に生まれた彼は、多様なバックグラウンドを持ち、そのことが彼の音楽性にも影響を与えたと考えられます。現在もバークレーに住み、雑誌コラムニストの娘セヴンを含む5人の子供たちと共に生活を送っています。

カントリー・ジョー・アンド・ザ・フィッシュ

バリー・メルトンと共に結成したカントリー・ジョー・アンド・ザ・フィッシュは、サンフランシスコのThe Avalon BallroomやThe Fillmore、モントレー・ポップ・フェスティバル、そして1969年のウッドストック・フェスティバルなど、数々の伝説的なステージで演奏を繰り広げました。彼らの音楽は、サイケデリック・ロックの先駆けとして、時代の若者たちに大きな影響を与えました。

反戦歌「アイム・フィクシン・トゥ・ダイ・ラグ」

カントリー・ジョー・アンド・ザ・フィッシュの代表曲「アイム・フィクシン・トゥ・ダイ・ラグ」は、ベトナム戦争を風刺したブラック・コメディのノベルティ・ソングです。「One, two, three, what are we fighting for?」という歌詞は、1960年代から70年代にかけての反戦運動の象徴となり、ウッドストック世代の若者や帰還兵たちの間で広く歌われました。また、観客とのコールアンドレスポンスでバンド名の綴りを叫ぶ「フィッシュ・チアー」も、彼らのライブパフォーマンスの定番となりました。

しかし、この「フィッシュ・チアー」は、フリー・スピーチ運動の影響を受け、「ファック・チアー」へと発展します。あるツアーでメンバーが「fish」の代わりに「fuck」と叫んだところ、観客には大ウケしましたが、スポンサーの怒りを買い、ツアーから追放されるという事件も起きました。その後も、このバージョンはライブで繰り返され、マクドナルドは公共の場で「fuck」と言ったとして罰金を科せられています。

著作権訴訟と再結成

2003年、マクドナルドは「アイム・フィクシン・トゥ・ダイ・ラグ」の歌詞の一部が、1926年のジャズの楽曲「マスクラット・ランブル」からの盗用であるとして訴えられました。しかし、裁判所は原告側の訴えを退け、マクドナルドの主張を支持しました。2004年には、カントリー・ジョー・アンド・ザ・フィッシュのオリジナルメンバーが集結し、カントリー・ジョー・バンドとして再結成。アメリカとイギリスでツアーを行いました。

社会活動への参加

マクドナルドは、音楽活動だけでなく、社会的な活動にも積極的に参加しています。2005年には、カリフォルニア州の歳出削減案に反対する抗議行動に参加。また、政治評論家からは、反戦運動への関与を理由に批判も受けています。

40年を超えるキャリア

40年以上にわたるキャリアの中で、マクドナルドは33枚のアルバムを録音し、数多くの楽曲を制作してきました。彼の音楽は、時代を映し出す鏡として、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

ディスコグラフィー（一部）

Tonight I'm Singing Just for You (1969)
Thinking of Woody Guthrie (1969)
War War War (1971)
Hold On It's Coming (1971)

参考文献

Remembering Woodstock, by Andy Bennett, Ashgate Publishing, 2004

外部リンク

Country Joe's official site
* CJFishlegacy.com

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