モントレー・ポップ・フェスティバル

モントレー・ポップ・フェスティバル：ロック史を彩る伝説の幕開け

1967年 6月16日から18日までの3日間、アメリカ・カリフォルニア州モントレーで「モントレー・ポップ・フェスティバル」が開催されました。このイベントは、ロック音楽を中心とした大規模な野外コンサートであり、20万人以上の観客を動員した歴史的なフェスティバルです。

「サマー・オブ・ラブ」の象徴

当時、ヒッピー・ムーブメントが社会現象となっていた「サマー・オブ・ラブ」の最中に開催されたこのフェスティバルは、若者たちの自由と平和への希求を象徴するイベントとなりました。モントレーは、音楽を通じて社会変革を訴える若者たちのエネルギーが爆発した場所であり、その後のロックフェスティバル文化の先駆けとなりました。

多様性を包容した音楽の祭典

出演者は30組以上と多岐にわたり、ロックミュージシャンだけでなく、ブルース、フォーク、ソウル、民族音楽など、多様なジャンルのミュージシャンが集結しました。この多様性は、当時の音楽シーンがロックンロールからロックミュージックへと移行する過渡期であったこと、そしてヒッピー文化が持つ多文化主義的な要素を反映していると言えるでしょう。選考は、単なる人気だけではなく、多様な音楽文化を広く受け入れようとする意図があったと考えられます。

誕生の背景

このフェスティバルは、1966年に開催されたモントルー・ジャズ・フェスティバルに触発されて生まれました。プロモーターのアラン・パリザーが、このフェスティバルを見てロック版の開催を思いつき、ママス&パパスのジョン・フィリップスとプロデューサーのルー・アドラーが中心となって実現しました。

スター誕生の地

モントレー・ポップ・フェスティバルは、ジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリックス、オーティス・レディングなど、多くのミュージシャンがその才能を世界に知らしめるきっかけとなりました。彼らのパワフルで情熱的なパフォーマンスは、観客を魅了し、音楽史に残る伝説として語り継がれています。特にジャニス・ジョプリンの圧倒的な歌唱力と、ジミ・ヘンドリックスによるギターパフォーマンスは、今なお多くの音楽ファンに影響を与え続けています。

映像作品と記録

フェスティバルの模様は、D・A・ペネベイカー監督によって撮影され、映画『Monterey Pop』として公開されました。この映画は、当時の熱狂的な雰囲気を捉え、フェスティバルを体験した人々の記憶を鮮やかに蘇らせました。また、1980年代後半には、ジミ・ヘンドリックスとオーティス・レディングのパフォーマンスを収録したビデオが発売され、2002年には、未公開映像を含む3枚組DVD『The Complete Monterey Pop Festival』がリリースされました。

フェスティバルを彩った楽曲

フェスティバルのプロモーションのために、ジョン・フィリップスが作詞作曲した「花のサンフランシスコ」は、スコット・マッケンジーによって歌われ、全米4位の大ヒットを記録しました。また、エリック・バードン&ジ・アニマルズは、フェスティバルを題材にした楽曲「Monterey」を発表しています。さらに、フェスティバルでのライブ演奏を収録したアルバムも多数リリースされており、その一部は音楽史に残る名盤として評価されています。

主要な出演者

モントレー・ポップ・フェスティバルには、以下のような錚々たるアーティストが出演しました。

6月16日（夜）
アソシエイション
ザ・パウパース
ルー・ロウルズ
ビバリー
ジョニー・リヴァース
エリック・バードン&ジ・アニマルズ
サイモン&ガーファンクル

6月17日（昼）
キャンド・ヒート
ビッグ・ブラザー・アンド・ザ・ホールディング・カンパニー featuring ジャニス・ジョプリン
カントリー・ジョー・アンド・ザ・フィッシュ
アル・クーパー
ザ・バターフィールド・ブルース・バンド
クイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス
スティーヴ・ミラー・ブルース・バンド
エレクトリック・フラッグ

6月17日（夜）
モビー・グレープ
ヒュー・マセケラ
バーズ
ザ・バターフィールド・ブルース・バンド
ローラ・ニーロ
ジェファーソン・エアプレイン
ブッカー・T&ザ・MG's
ザ・M.G.'s・アンド・ザ・マーキース
オーティス・レディング

6月18日（昼）
ラヴィ・シャンカル

6月18日（夜）
ブルース・プロジェクト
ビッグ・ブラザー・アンド・ザ・ホールディング・カンパニー featuring ジャニス・ジョプリン
アソシエイション
グループ・ウィズ・ノー・ネーム（サイラス・ファーヤー）
バッファロー・スプリングフィールド
ザ・フー
グレイトフル・デッド
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス
ママス&パパス
スコット・マッケンジー
ママス&パパス

音楽史における重要な遺産

モントレー・ポップ・フェスティバルは、ロックフェスティバルの歴史における重要な出発点であり、音楽史に大きな足跡を残しました。このフェスティバルで芽生えた自由な精神と多様性を尊重する姿勢は、その後の音楽シーンに大きな影響を与え、現在まで受け継がれています。また、多くの才能あるミュージシャンがスターダムへと駆け上がった場所として、音楽ファンにとって永遠に語り継がれる伝説のフェスティバルと言えるでしょう。

モントレー・ポップ・フェスティバル