コールアンドレスポンス

コールアンドレスポンス：音楽の掛け合いが生む一体感

コールアンドレスポンス（call and response）は、音楽における「掛け合い」を意味し、略してコーレスとも呼ばれます。これは、複数の演奏者や歌手が、一方が「呼びかけ」を行い、もう一方がそれに応える形でフレーズを継承していく楽式です。単に歌詞が呼応するだけでなく、コンサートで演奏者の呼びかけに観客が応える現象も含まれます。

コールアンドレスポンスのルーツと広がり

コールアンドレスポンスは、アフリカ音楽をルーツとし、ゴスペル、ブルース、ソウルといったブラックミュージックで顕著に見られます。また、キリスト教音楽のアンティフォナやレスポンソリウム、インドの伝統音楽ジュガルバンディ、フランスのブルターニュ地方のシーシャンティなど、世界各地の伝統音楽や民族音楽にも取り入れられています。

特に、ブラックアフリカ地域では、集会や宗教儀式を告知するコミュニケーション手段として普及していたため、アフリカ系アメリカ人の音楽であるゴスペル、ブルース、ジャズ、ドゥーワップや、キューバのルンバ、ソン、サンテリア音楽、ジャマイカのナイヤビンギ、メントなど、黒人奴隷の子孫たちの音楽でよく用いられる楽式です。

ポピュラー音楽においては、リズムアンドブルースなどのブラックミュージックで頻繁に見られ、マディ・ウォーターズの「マニッシュボーイ」やチャック・ベリーの「スクール・デイズ」などがその代表例です。これらの楽曲の影響を受け、ロックやロカビリーといった白人音楽にもコールアンドレスポンスが取り入れられるようになりました。ザ・フーが1965年に発表した「マイ・ジェネレーション」もその一例です。

ブルースにおけるコールアンドレスポンス

伝統的なブルースとその派生ジャンルでは、ブルース形式による楽式の中に明確なコールアンドレスポンスが見られます。最も一般的な12小節のブルース形式では、以下のように構成されます。

`A（12小節） = a（4小節） + a'（4小節） + b（4小節）`

このパターンにおいて、aおよびa'が「コール」であり、bが「レスポンス」となります。さらに、これらの4小節を細分化し、2小節または1小節ごとに短いコールアンドレスポンスが繰り返されることもあります。

コールアンドレスポンスの種類

コールアンドレスポンスには、いくつかの種類が存在します。

リーダー/コーラス

リーダー/コーラス・コールアンドレスポンスは、リーダーが主題を提示し、それに対してコーラス隊が応唱や楽器演奏で継承する形式です。マディ・ウォーターズの代表曲「I'm Your Hoochie Coochie Man」は、ほぼ全面的にこの形式を取り入れています。

クエスチョン/アンサー

クエスチョン/アンサー・コールアンドレスポンスは、バンドの一部が音楽的な「質問」または未完成と感じられるフレーズを演奏し、別のパートが演奏によって「回答」または完成させる形式です。ブルースにおいては、ドミナントコードからトニックコードに進行することが多いBセクションで主に使用されます。

コールアンドレスポンスは、音楽に一体感と活気をもたらす重要な要素です。多様な音楽ジャンルや文化において、その形式は変化しながらも、音楽の根源的な魅力を引き出し続けています。

関連情報

• - ドゥーワップ
• - ブルースにおけるコールアンドレスポンス - 具体的なブルース楽曲と歴史の出典
• - ゴスペル音楽の歴史 - 黒人霊歌におけるコールアンドレスポンスの出典

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