カンボジア・ベトナム戦争

カンボジア・ベトナム戦争の概要

カンボジア・ベトナム戦争は、冷戦の影響を色濃く受けたベトナムとカンボジア間の軍事衝突である。この戦争は、両国の陸海国境における小規模な衝突から始まり、時間とともに拡大していく。特に1978年12月25日、ベトナム軍は全面的な侵攻を開始し、クメール・ルージュ政権を崩壊させる目的で多大な軍事力を投入することになった。

背景

カンボジアとベトナムの関係は、13世紀にさかのぼり、歴史的にはパワーバランスや支配を巡る葛藤が繰り返されてきた。19世紀にはベトナムの植民地となり、共産主義の興隆後には、インドシナ半島の共産主義運動が影響を及ぼす。第二次世界大戦後、ベトナムは独立を果たし、その後、カンボジアは共産主義運動の影響を強く受け、1975年にはクメール・ルージュが権力を掌握する。

この背景の中で、クメール・ルージュは政権を維持するため、特にベトナムが抱える拡張主義への恐れを持つようになり、1977年にはベトナムに対する攻撃を行った。この際、カンボジア軍は国境を越えてベトナムの村々に侵攻し、多くの市民が犠牲となった。

戦争の経過

1978年末、ベトナムは自国の安定と地域の平和を目的にカンボジアに侵攻する決断を下し、約15万人の兵士を派遣した。この大規模な攻撃はあっという間にカンボジア軍を圧倒し、数週間以内にプノンペンを奪取し、新たに親ベトナムのカンプチア人民共和国を樹立した。

しかし、戦争の結果、カンボジア内には多くの武装抵抗活動が残り、クメール・ルージュは地下に潜伏して抵抗を続けていく。また、この侵攻は国際社会からの厳しい非難を浴びた。

国際的な反応とベトナムの後退

ベトナムの侵攻に対しては、中国を中心に国際的な緊張が高まり、特に中越国境では軍事的な衝突が発生した。1979年には中国がベトナムに侵攻し、これを受けてベトナムは更なる軍事的孤立を強めることとなった。その結果、カンボジア内のPRK政権は国際的な支援を受けつつ、厳しい戦局に耐える必要があった。最終的には、ベトナムは1989年にカンボジアから部隊を撤退させ、その後の和平プロセスへと進むことになる。

和平とその後の影響

1991年にはパリ和平協定が締結され、国際連合カンボジア暫定統治機構 (UNTAC) が設立されることとなった。この過程で新たな選挙が実施され、カンボジアは統治能力の再建に取り組む。

カンボジア・ベトナム戦争は、二国の歴史に深い傷跡を残し、両国間の政治、経済、文化に多くの影響を与えることとなった。特に、クメール・ルージュの残党が依然として国際社会で支持を受けていた時期には、安定した政府の樹立が難航した。この地域の和平と安定は、長い時間を要しながら徐々に構築されていくことになる。

このように、カンボジア・ベトナム戦争は単なる地域的な紛争を超え、冷戦の文脈の中での地政学的な争奪戦と、国際社会における力関係の変化をもたらした。

もう一度検索