カンポ・グランデ (マットグロッソ・ド・スル州)

カンポ・グランデ：ブラジルの肥沃な大地に根付く多様な文化

カンポ・グランデは、ブラジル中西部のマットグロッソ・ド・スル州に位置する州都であり、同州最大の都市です。約90万人の人々が暮らすこの都市は、ボリビアやパラグアイへの交通の要衝としても知られています。

豊かな自然と経済

カンポ・グランデは、サンパウロの西北西約900キロメートル、マラカジュ山脈の中に位置し、標高は約540メートルです。肥沃な農牧地帯を背景に、牛、コーヒー、米、綿花、サトウキビ、トウモロコシなどの農作物の集散地として発展しました。また、食肉、皮革、マテ茶などの加工業も盛んです。

交通の要衝

東西交通の要地であり、サンパウロからボリビア国境のコルンバ、パラグアイ国境のポンタポランへと続く幹線鉄道が通っています。道路網も整備されており、都市の郊外にはカンピーナス-サンタクルス間のパイプラインが走っています。また、カンポ・グランデ国際空港は、国内外へのアクセスを支えています。

日系移民と沖縄そば

カンポ・グランデには、多くの日系移民、特に沖縄にルーツを持つ人々が暮らしています。日系人人口の約60％が沖縄県出身者であるというデータもあります（2012年時点）。

ノロエステ鉄道の建設に従事した日系移民たちは、終点の地であるカンポ・グランデに定住し、農業を通して開墾を進めました。沖縄出身者たちは、祝いの席や農作業ができない日などに沖縄そばを作る習慣があり、この食文化がカンポ・グランデに根付いていきました。

カンポ・グランデ独自の「sobá」

第二次世界大戦以前は家庭料理だった沖縄そばは、戦後に屋台で販売されるようになり、日系人コミュニティの交流拠点となりました。当初、箸を使って音を立ててそばを食べる習慣が恥ずかしいとされていたため、店はカーテンで覆われていましたが、それが逆に非日系人の好奇心を刺激し、広まっていきました。

1980年代には、顧客のほとんどが日系人以外のブラジル人となり、市内には100軒以上のそば店が軒を連ねるようになりました。カンポ・グランデの沖縄そばは、現地の嗜好に合わせて独自の進化を遂げています。豚骨ベースのスープにソーキ（豚のあばら肉）をトッピングするのが一般的ですが、牛肉を好む当地の事情から牛肉がトッピングされることもあります。スープも豚、牛、鶏ガラ、野菜など様々な出汁が使われ、イスラム教徒の客のために鶏や牛で出汁を取ったそばも提供されています。麺には鹹水のほか灰汁を使うこともあり、「軟らかいパスタ」として受け入れられています。

こうして生まれたカンポ・グランデの沖縄そばは、"sobá" の名で「郷土食」として定着し、多くのそば店が出店するフェイラ・セントラル（中央市場）では、地域振興の核となっています。2006年には市の「無形文化遺産」に指定され、毎年「そば祭り」が開催されています。また、カンポ・グランデ観光フェイラ・セントラル協会は、"sobá de campo grande" の商標を取得し、市外へのフランチャイズ展開を計画しています。フェイラ・セントラルの入り口には、高さ3メートルの sobá のモニュメントが設置されています。

カンポ・グランデは、パラグアイのペドロ・ファン・カバリェロ、イタリアのトリノと姉妹都市提携を結んでいます。

肥沃な大地と多様な文化が育むカンポ・グランデは、ブラジルの中でも独特の魅力を持つ都市です。

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