カーティス・ウィルバー (ミサイル駆逐艦)

カーティス・ウィルバー（USS Curtis Wilbur, DDG-54）は、アメリカ海軍が誇るアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の4番艦であり、ミサイル防衛能力を備えた重要な艦艇です。その艦名は、カルビン・クーリッジ大統領の下で第43代海軍長官を務めたカーティス・ウィルバーに由来します。

艦歴

1991年3月12日、メイン州バスのバス鉄工所で起工されたカーティス・ウィルバーは、1994年3月19日にカリフォルニア州ロングビーチで華々しく就役しました。就役式典では、当時の海軍長官ジョン・H・ドルトンが演説を行い、その門出を祝いました。

就役後、1994年夏には環太平洋合同演習「リムパック'94」に参加。30隻以上の艦艇、多数の潜水艦、地上基地、そして航空母艦からの航空機が参加する大規模な演習で、カーティス・ウィルバーは防空コーディネーターとしての重要な役割を担いました。また、同年夏には、検査、調査、そして最終公試を経て、その性能が評価されました。

1994年10月には、女性乗組員が初めて乗艦するイージス艦となり、アメリカ海軍における女性の活躍を推進する先駆けとなりました。

1995年7月31日、カーティス・ウィルバーは西太平洋に配備され、ペルシャ湾に向けて出航。アメリカ海軍中央コマンドの指揮下で作戦を展開し、オペレーション・サザンウォッチおよびヴィジラント・センチネルを支援しました。これらの作戦において、航空戦、対地上戦、海中戦、そして攻撃指揮艦といった多岐にわたる任務を遂行。さらに、イラクに対する国連制裁を支援する第5艦隊特別遠征対策本部の一員としても活動しました。

1996年9月、カーティス・ウィルバーは母港をサンディエゴから日本の横須賀に移し、第7艦隊に編入されました。横須賀到着後には、最終評価期間においてテーラード・シップス・トレーニング・アヴァイラビリティ IIおよびIIIを完了し、即応態勢を整えました。

1997年2月15日には、空母インディペンデンス戦闘集団に配属され、タンデム・トラスト'97とコブラ・ゴールドという二つの重要な演習に参加。これらの演習では、航空戦指揮艦としての役割を果たしました。

1997年の残りの期間は、ジャヴェリン・メーカー、ミサイレックス 97-4、ASWEX 97-6JA、HARMEX 97-2、ANNUALEX 09G、コンピューテックスといった第7艦隊の様々な演習に参加し、練度向上に努めました。その「艦隊への貢献」が評価され、1997年の Destroyer Squadron Fifteen Battle Efficiency Winner に選出されました。

2001年10月1日、カーティス・ウィルバーは新たな配備のため横須賀を出航。空母キティホーク打撃群に配属され、ペルシャ湾での不朽の自由作戦に従事しました。その後、10ヶ月に及ぶ長期の港湾訪問を開始し、12月13日から15日までタイ王国のプーケットを訪問。12月23日には横須賀に帰港しました。

2002年2月初めには、横須賀を拠点とする米海軍の艦艇や海上自衛隊の補給艦と共にミサイレックス 02 に参加。沖縄諸島近海で行われたこの演習では、対艦ミサイル防御訓練を実施しました。

2004年8月には、ベトナムのダナンに入港。ベトナム戦争後の1976年以来、同港に入港した初めてのアメリカ海軍艦艇となり、両国関係の改善を象徴する出来事となりました。

2011年3月、カーティス・ウィルバーは空母ロナルド・レーガンと共に、東日本大震災で被災した日本を支援する「トモダチ作戦」に参加。この際、福島第一原子力発電所事故によって漏出した放射線に被曝するという困難にも直面しました。

2019年3月24日には、アメリカ沿岸警備隊のバーソルフと共に台湾海峡を通過。2021年2月24日と同年5月18日にも同様に台湾海峡を通過しました。同年5月20日には、中華人民共和国が実効支配するパラセル諸島付近で「航行の自由」作戦を実施。中国側はこれを「領海侵犯」と非難し、緊張が高まりました。

2021年8月18日、カーティス・ウィルバーは25年間にわたる日本での活動を終え、母港である横須賀基地からサンディエゴへ転属のため出港。今後は第3艦隊所属艦として活動する予定です。

カーティス・ウィルバーは、その輝かしい艦歴を通して、アメリカ海軍の即応性と国際貢献を示す象徴的な存在であり続けています。

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