カーテシー

カーテシー（curtsy または curtsey）は、西洋文化における挨拶の一種であり、特に女性が行う礼法として知られています。日本語では「屈膝礼」や「膝折礼」と訳されることがあります。この礼法は、単に頭を下げるだけでなく、膝を軽く曲げる動作を伴うのが特徴です。

カーテシーの歴史と発展

カーテシーは、17世紀以降にヨーロッパで女性の礼法として発展しました。目上の人に対して敬意を示すために行われ、片足を斜め後ろに引き、もう一方の足の膝を軽く曲げます。この時、背筋は伸ばしたまま、両手でスカートの裾を軽く持ち上げることもあります。この動作は、単なる挨拶を超え、社会的地位や敬意を示す重要な手段でした。

特にビクトリア朝時代には、コルセット式のペチコートスカートの中で、バレエのプリエのポジション（前に出した足は膝で軽く曲げ、後ろ側の足はまっすぐ伸ばしたまま）を取っておこなうスタイルが確立されました。この方法では、上体が前傾することなく、上下するようなお辞儀に見えました。

現代におけるカーテシー

伝統的に、カーテシーは使用人が主人に対して行うなど、社会的にランクが下の者から上の者へ行うものでした。しかし、現代のヨーロッパでは、王室のメンバーに面会する際に行われることが一般的です。これは、社会的な地位を示すというよりも、敬意を示すための儀式としての意味合いが強くなっています。

ダンスとスポーツにおけるカーテシー

カーテシーは、ダンスの世界でも広く使われています。バレエやフォークダンス、フィギュアスケートなどの演技後、観客への感謝の意を表すために行われます。この場合、優雅で美しい動作が求められ、視覚的な魅力も重要な要素となります。

スポーツの分野では、イギリスのウィンブルドン選手権の女子決勝戦後の表彰式において、選手と主審が主賓であるケント公に対し、伝統的な挨拶としてカーテシーを行います。ここでは、格式の高い礼儀作法としての側面が強調されます。

カーテシーと礼儀

英語の「courtesy」は、「礼儀正しさ」や「礼儀」を意味します。一方、「curtsy」または「curtsey」は、挨拶やお辞儀の方法を指す単語として使われます。このため、カーテシーという言葉は、単なるお辞儀の形式だけでなく、敬意を示す行為全般を包括的に表す場合もあります。

まとめ

カーテシーは、西洋文化における独特な挨拶の形式であり、その歴史は長く、時代とともに変化してきました。現代では、王室やダンス、スポーツなど、特定の場面でその伝統が守られています。カーテシーは、単なる挨拶の動作を超え、敬意や社会的地位を示す重要な文化的要素であると言えるでしょう。

参考資料

Royal curtsy Days of Majesty, 2012-09-22
The Resurgence of the Curtsy by Judith Fife Mead
How to Curtsey
The Lady's Courtesy in the Victorian Ballroom

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