カーリス

カーリス：不死身のミイラ男とその系譜

カーリスは、ユニバーサル・モンスターズシリーズを代表するミイラ男として、ホラー映画史に名を刻む存在です。ドラキュラやフランケンシュタインの怪物と並ぶ人気を誇り、その不気味な風貌と執拗な復讐劇は多くの観客を魅了し続けています。ユニバーサル映画のオリジナルキャラクターであり、エジプト第18王朝、ツタンカーメンのミイラ発掘と王家の呪いという伝説から着想を得て生まれたとされています。

カーリスの誕生と変遷：メイクアップと俳優陣

1940年公開の『ミイラの復活』で初登場を果たしたカーリスを演じたのは、西部劇俳優として活躍していたトム・タイラーです。続く『ミイラの墓場』『執念のミイラ』『ミイラの呪い』では、怪奇映画スターとして名高いロン・チェイニー・ジュニアがカーリスを演じました。興味深いのは、各作品におけるカーリスの造形です。タイラー演じるカーリスは顔が見える状態でしたが、チェイニー・ジュニアが演じたカーリスは全身を包帯で覆われ、表情が判別できないほどの徹底した姿に変化しました。また、タイラー版カーリスの「右手を胸に当て、左手を伸ばし脚を引きずる」という独特の歩き方は、後のミイラ男像を決定づける重要な要素となっています。メイクアップは、ユニバーサル・モンスターズ作品で数々の怪物のメイクを手がけたジャック・ピアースが担当しました。

各作品におけるカーリスの活躍

カーリスはシリーズを通して、復活と死を繰り返し、執拗な復讐劇を繰り広げます。

『ミイラの復活』: 恋人を蘇らせようとした神官がミイラにされ、数千年後に復活。発掘隊を襲いますが、最後は炎に包まれます。
『ミイラの墓場』: 前作から生き延びたカーリスは、新たな大神官と共にアメリカで復讐を企てます。主人公の息子とその恋人を狙いますが、再び炎に包まれて命を落とします。
『執念のミイラ』: 大神官によって復活し、転生した恋人を誘拐しようとしますが、沼に沈んで息絶えます。
『ミイラの呪い』: 沼地から掘り起こされ、再び復活。恋人を守りながら人々を殺戮しますが、アジト崩壊により命を落とします。

各作品で、カーリスの復活方法や死因は異なっていますが、一貫して復讐の亡霊として描かれている点は共通しています。

ハマー映画におけるカーリス

イギリスのハマー・フィルム・プロダクションは、ユニバーサル映画からリメイク権を取得し、『ミイラの幽霊』を製作しました。この作品では、フランケンシュタインやドラキュラを演じたクリストファー・リーがカーリスを演じています。しかし、この作品以降のハマー映画におけるミイラ男はカーリスとは異なる設定となっています。

ダーク・ユニバースとアマネット

近年、ユニバーサルは『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女|ザ・マミー_呪われた砂漠の王女』で『ミイラ再生』をリブートしました。この作品では、カーリスやイムホテップに相当する新たなミイラモンスターとして、アマネットが登場します。アマネットは邪心に憑りつかれたエジプト新王国の王女であり、ソフィア・ブテラが演じました。アマネットの造形は、顔や全身に刻まれたルーン文字のような記号が特徴的で、メイクアップとCGI技術が巧みに組み合わされています。アマネットは、自身の復讐劇を展開しますが、最後は再び封印の身に処されます。

まとめ

カーリスは、ユニバーサル・モンスターズを代表するミイラ男として、時代を超えて人々の恐怖と関心を惹きつけてきました。その不気味な風貌と、執拗な復讐劇は、多くのホラー映画に影響を与え、現代においてもなお、その存在感は揺るぎないものとなっています。様々な俳優やメイクアップ技術によって表現されてきたカーリス像は、時代とともに変化しながらも、ミイラ男という存在の象徴として、これからも人々の記憶に刻まれ続けるでしょう。

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