カール・パーキンス

カール・パーキンス：ロカビリーの王、その音楽と生涯

カール・リー・パーキンス（1932年4月9日 - 1998年1月19日）は、アメリカのロカビリー音楽家であり、初期ロックンロールの重要な人物の一人です。1954年からテネシー州メンフィスのサン・レコードで活動し、エルヴィス・プレスリーらと共にサンの黄金時代を築き上げました。

チャーリー・ダニエルズは「カール・パーキンスの曲はロカビリー時代の象徴であり、彼のサウンドこそが本物のロカビリーである」と語り、ポール・マッカートニーは「もしカール・パーキンスがいなかったら、ビートルズは存在しなかった」と述べています。彼の楽曲は、エルヴィス・プレスリー、ビートルズ、ジミ・ヘンドリックス、ジョニー・キャッシュなど、多くの著名なアーティストにカバーされ、音楽界での地位を確立しました。「ロカビリー界の王」と称され、ロックの殿堂、ロカビリーの殿堂、ナッシュビル作曲家の殿堂入りを果たし、グラミー賞の殿堂入りもしています。

生い立ちと音楽への目覚め

テネシー州の貧しい小作農家に生まれたパーキンスは、幼い頃から綿花農園で働くアフリカ系アメリカ人労働者たちのゴスペル音楽に触れて育ちました。ラジオから流れる『グランド・オール・オープリー』を聴き、ロイ・エイカフに影響を受け、ギターをねだりました。最初は手作りのギターで練習し、後に中古のギターを手に入れて腕を磨きました。黒人労働者の友人からギター奏法を学び、ブルースやゴスペルに触れる中で、カントリーのビートでブルースを演奏するロカビリーの原点が形成されていきました。

プロとしてのキャリア

14歳で兄と共に酒場で演奏を始め、プロとしてのキャリアをスタートさせました。ビル・モンローの楽曲をアップテンポに変え、カントリーとブルースの要素を混ぜた演奏スタイルで人気を集めました。その後、弟をバンドに迎え入れ、ジャクソン周辺の様々な場所で演奏するようになります。1940年代後半には、ラジオ番組にも出演し、地元の人気バンドとなりました。

サン・レコードとの出会い

エルヴィス・プレスリーの音楽に刺激を受けたパーキンスは、メンフィスのサン・レコードに自作のデモテープを送り、オーディションの機会を得ました。1954年10月、サム・フィリップスに認められ、サン・レコードからデビュー。1955年3月には「Movie Magg」でデビューし、地域的なヒットを記録しました。そして、1955年秋、彼は運命の曲「ブルー・スエード・シューズ」を作曲しました。

「ブルー・スエード・シューズ」の大ヒットと交通事故

ある日、パーキンスはデート中にスエードの靴に傷をつけて怒っているダンサーを目撃し、その光景からインスピレーションを得て「ブルー・スエード・シューズ」を作曲しました。1955年12月19日、サン・スタジオでレコーディングされたこの曲は、1956年1月1日にリリースされると瞬く間に大ヒット。カントリー・チャートで1位、ポップ・チャートで2位を獲得し、リズム・アンド・ブルース・チャートでも上位にランクインしました。

しかし、1956年3月21日、パーキンス一行は交通事故に遭い、首の骨を折るなどの重傷を負いました。この事故で兄のジェイも重傷を負い、後に合併症で亡くなりました。事故により、パーキンスは一時的に音楽活動を休止せざるを得なくなりました。

復帰後の活躍と晩年

怪我から回復後、パーキンスは音楽活動を再開し、「Dixie Fried」などの楽曲を発表しました。1964年には、ビートルズに招待され、リンゴ・スターが「ハニー・ドント」を歌うことを快諾しました。その後、ジョニー・キャッシュとの共演や、ボブ・ディランとの楽曲制作など、多彩な活動を展開しました。

1980年代には、ロカビリーのリバイバルが起こり、パーキンスは再び注目を集めるようになりました。ポール・マッカートニーとの共演や、ジョージ・ハリスン、エリック・クラプトンらとのライブ・セッションなど、精力的に活動しました。1987年にはロックの殿堂入りを果たし、その音楽的功績が広く認められました。

1998年1月19日、カール・パーキンスは咽頭がんによる脳梗塞のため65歳で亡くなりました。彼の音楽は、ロカビリーの象徴として、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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