ガイ (ファイナルファイト)

ガイ

カプコンが手掛けるアクションゲーム『ファイナルファイト』シリーズ、そして対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場するキャラクター、ガイ（Guy）。彼は古来より続く武神流忍術の伝承者であり、その機敏な動きと多彩な技で多くのプレイヤーを魅了してきた。本項では、主に『ストリートファイター』シリーズを中心に、彼の人物像や特徴を解説する。

キャラクター設定

漢字表記は「凱」。黒髪の男性忍者であり、武神流忍術を継承している。体力や攻撃力は控えめながら、卓越した機動力と、素早い連続攻撃や相手を翻弄するトリッキーな技を駆使する戦い方が彼の真骨頂である。深紅の忍装束のような独特な衣装を纏い、『ストリートファイターZERO』（以下『ZERO』）シリーズ以降は、足元がスニーカーになったスタイルが定着している。

武神流忍術の伝承者としては、初期には第57代とされていたが、『ZERO』以降は設定が見直され、第39代伝承者とされている。出身国籍については作品によって異なり、『ファイナルファイト』や初期の『ZERO』シリーズ、そして『ストリートファイターV』の公式サイト設定では日本出身とされているが、『ZERO3』や『ストリートファイターIV』（以下『ストIV』）シリーズではアメリカ出身とされている。『ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル』では、アメリカ生まれの日本育ちという記述も見られる。

経歴と人間関係

ガイが最初に登場するのは『ファイナルファイト』である。彼はコーディーやマイク・ハガーと同じジムでトレーニングをしていた縁から、ハガーの娘ジェシカが犯罪組織マッドギアに拉致された事件に関与。コーディー、ハガーと共にマッドギアを壊滅させることに成功した。その後、数年の厳しい修行期間を経て、『ファイナルファイト タフ』（以下『タフ』）で再びメトロシティに戻り、ハガー、ディーン、ルシアと共に新たな犯罪組織スカルクロスを打倒する活躍を見せた。開発者のあきまん氏によると、ガイは大学受験に失敗して単身渡米し、マッドギアとの戦いを経験することで、武神流の極意が一人対多数の戦いにあることを悟ったとされる。

スーパーファミコン版『ファイナルファイト』では容量の都合で登場しなかったが、後にガイを主人公にしたアレンジ版『ファイナルファイト・ガイ』がSFCで発売された。このバージョンでは、ガイはコーディーと日本で修行していたが、マッドギアの策略でメトロシティへ引き戻され、コーディーに代わってハガーと共闘するという独自のシナリオが展開された。

ガイには源柳斎麗奈という婚約者がいる。また、麗奈の妹で『ファイナルファイト2』に登場する妹弟子、源柳斎真紀からは一方的にライバル視されており、彼女から追われる立場にあるが、ガイ自身はさほど気にかけていない様子である。

かつて壊滅させたマッドギアの元幹部であるソドムやロレントからは敵意を向けられており、『ZERO』や『ZERO2』では彼らが戦う最終ボスとしてガイが登場する。特にソドムに対しては、彼の日本文化に関する誤った認識を指摘したことが反感を買う一因となっている。

『ZERO』以降の設定では、ガイは不良少年だった頃に武神流第38代伝承者の是空（ゼクウ）によって才能を見出され、武神流忍術を継承したとされている。彼は師のゼクウの下で修行を積み、さらなる研鑽のためアメリカへ武者修行に出た。是空は、宗家である源柳斎の武神流が元々忍法主体だったところに、他の格闘術を取り入れ、現在のガイが使うような実践的なスタイルを確立した人物である。GBA版では、マキもガイと同じくゼクウに師事していたことが示唆されている。

『ポケットファイター』では背景キャラクターとして登場し、いぶきのエンディングでは、他流派の忍者いぶきから勝負を挑まれるも、焼き芋を渡して立ち去るというユーモラスなシーンがある。『CAPCOM FIGHTING Jam』では『ZERO』シリーズ代表として参戦。『ストリートファイター X 鉄拳』ではDLC追加キャラクター（PS Vita版は初期から）として登場した。

ガイの武神流の師については、源柳斎（麗奈とマキの父）とする設定と是空とする設定が混在している。『ファイナルファイト2』では源柳斎が師とされたが、『ZERO』以降は是空に師事したことになっている。UDON刊の書籍では、源柳斎が第37代伝承者で是空の前任者であり、彼もガイに修行を施したとされている。

人物像

ガイは年齢に不釣り合いなほど落ち着いており、冷静な視点で物事を判断することができる。コーディーが堕落した際も、驚きつつも多くを問うことはなかった。一人称は「拙者」で、古風な口調と語尾に「ござる」を付けるのが特徴的。「サイコパワー」を「サイコッパーワー」、「スニーカー」を「スニイカー」と発音するなど、横文字が苦手な一面もある。

『ファイナルファイト』のエンディングで、ジェシカの前から逃げようとしたコーディーを「武神獄鎖拳」で打ち倒した場面は、ガイなりの叱咤激励であったと解釈されている。彼の装束は、『ファイナルファイト』時代と『ZERO』シリーズ以降でデザインが異なるが、どちらも「武神」の刺繍が入っており、下に白いTシャツ（『ZERO』以降は帷子）を着用している点は共通。特に『ZERO』以降は独自のデザインとなり、スニーカーへのこだわりも示唆されている。

GBA版『ファイナルファイトONE』の隠しキャラクターである『ZERO』版ガイは、通常のガイと比較して防御力が高く調整されている。ボスとの会話も専用のものが用意されており、ロレントやアビゲイルに「話を聞かない」とぼやかれ、ベルガーに「スニーカーも新調した」と答える場面がある。『ポケットファイター』では、いぶきに服装の色を揶揄されるシーンも見られる。

『V』公式WEBサイトの「キャラ図鑑」では、髪を伸ばして後ろで束ねた姿も紹介されている。

武神流忍術

『ZERO』シリーズの設定では、武神流忍術はガイが是空から伝承された、一対多数の戦いを前提とした実戦的な忍術である。その基本理念は「世の中の影に隠れて悪を討つ」という、世のため人のために力を使うことにある。また、『ストリートファイターEX』シリーズに登場するほくとは、武神流の血筋に生まれた者である。

『ファイナルファイト』よりも未来を舞台にした『キャプテンコマンドー』のコマンドーチームのメンバー、翔（ショウ）も武神流（ゲーム内では「武神流忍法」）を修めた伝承者であり、彼はガイの弟子である第40代伝承者・號（ゴウ）の長男にあたる。武神流は『ロストワールド』に登場する戦いの神「武神」を祀っており、本来は善なる神とされる武神に由来する流派である。『NAMCO x CAPCOM』では、ガイは翔と共演し、武神流の縁から共に戦線を駆け巡った。

ゲームシステム上の特徴

ベルトスクロールアクション版

『ファイナルファイト』時代のガイは、3人のプレイヤーキャラクターの中で攻撃力は最も低いが、連続攻撃のヒット数が最大5回と最も多い特徴を持つ。これにより、敵に攻撃を当てる回数が多くなり、スコアアタックにおいて有利なキャラクターであった。ただし、敵をダウンさせるまでに時間がかかるため、囲まれた際に別の敵から攻撃を受けやすいという弱点もあった。連続攻撃の途中で攻撃を空振りさせて連係を継続する「パンチはめ」もコーディーと同様に可能で、攻撃回数が多いガイはこのテクニックも使いやすい。彼だけが壁を使った三角跳びが可能で、画面内に壁や障害物が必要だが、ここから繰り出す蹴りは通常よりも高威力になる。得意武器は日本刀で、彼が持つと刀の攻撃判定が拡大する。

GBA版『ファイナルファイト ONE』で使用できる『ZERO』版ガイは、通常のガイと攻撃力に大きな差はないが、防御力が高く調整されている。ファミリーコンピュータ版『マイティファイナルファイト』では得意武器が手裏剣に変更され、『タフ』ではヌンチャクが彼の得意武器となった。

対戦格闘ゲーム版

『ストリートファイター』シリーズにおけるガイは、その特徴である体術と俊敏な動きを活かして戦うキャラクターとして設計されている。シリーズを通して高い機動力に優れており、素早いダッシュや高い跳躍力を駆使して相手を翻弄する。原作である『ファイナルファイト』での動きも再現されており、メガクラッシュが必殺技の「武神旋風脚」に、ボタン連打による連続攻撃が特殊技の「武神獄鎖拳」などとして受け継がれている。

通常技は総じて攻撃判定が強く、距離を問わず使いやすいものが揃っている。一方で、必殺技は相手に高速で接近したり、追加入力によってガードを崩せる攻撃を出したりと、奇襲や撹乱に特化したものが多く、多彩な攻め手を持つ。ジャンプの軌道も高く、そこからの空中技も強力な攻撃手段となる。

他メディアでの登場

漫画家・中平正彦氏による漫画『ストリートファイターZERO』では、単身で数々の組織に乗り込み壊滅させ続け、その名を知られる東洋人として登場。リュウに対し、殺意の波動の本当の意味を教えるべく立ちはだかる存在として描かれた。ゲーム作品では、『ZERO』や『ZERO2』、『ストIV』シリーズのガイのステージBGMが、『ファイナルファイト』のステージ1曲をアレンジしたものである。また、『ガンスリンガー ストラトス2』では、草陰稜のコスチュームとしてガイの衣装が登場している。

『NAMCO x CAPCOM』においては、同じ武神流の伝承者である『キャプテンコマンドー』の翔（ショウ）とペアユニットを組み、武神流の縁から共に戦線を駆け巡った。物語的に繋がりを持つ『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』では、ガイ本人は登場しないが、キャプテンコマンドーの台詞からコマンドーチームに加入しており、翔らと共に別任務にあたっていることが語られている。

主な登場作品

ファイナルファイトシリーズ
スーパーファミコン版『ファイナルファイト』と『ファイナルファイト2』には未登場
ストリートファイターZEROシリーズ
ストリートファイターIVシリーズ（『スパIV』以降から）
アドベンチャークイズ カプコンワールド2
SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ全シリーズ
CAPCOM FIGHTING Jam
NAMCO x CAPCOM
ストリートファイター X 鉄拳
鬼武者Soul

担当声優

岩永哲哉（『ストZERO』シリーズ、『CAPCOM FIGHTING Jam』、『NAMCO x CAPCOM』）
最上嗣生（『ストIV』シリーズ日本語版、『ストクロ』日本語版）
* ジェイソン・C・ミラー（『ストIV』シリーズ英語版、『ストクロ』英語版）

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※本文中に記述されている技の名称や性能は、登場作品によって細部が異なる場合があります。詳細については各ゲームの情報を参照してください。

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