ガスケット

ガスケット：機械部品の気密・液密を支えるシール材

ガスケットは、機械部品の接合部において、気密性や液密性を確保するために使用される重要なシール材です。配管の継ぎ目、圧力容器、エンジンなど、様々な場所で活躍しており、流体の漏れや外部からの異物の侵入を防ぐ役割を担っています。その種類は多岐に渡り、材質、形状、用途に応じて最適なガスケットが選択されます。

ガスケットの種類と特徴

ガスケットは、大きく分けて軟質ガスケットと硬質ガスケットに分類できます。それぞれに様々な種類があり、それぞれの特性を理解することが適切なガスケット選択に繋がります。

1. 軟質ガスケット

ゴムOリング: 断面が丸いゴムリングで、溝にはめ込んで使用します。小型で高いシール性を持ち、締付荷重も比較的低く済みますが、専用の溝加工が必要です。運動する箇所のシールには「パッキン」と呼ばれます。
ゴムシート: 厚さ1～3mmのゴムシートを打ち抜いたガスケット。天然ゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴムなど、様々な材質があり、用途に合わせた選択が可能です。弾力性と密着性に優れ、低圧力下で高いシール性を発揮しますが、高圧力には向きません。
ジョイントシート: ゴム、繊維、膨張黒鉛などを混合して圧延したシートを打ち抜いたガスケット。かつては石綿が使用されていましたが、現在は非石綿素材が主流です。価格が安く、加工が容易なため広く使われています。
膨張黒鉛シート: 膨張黒鉛を基材とするシートガスケット。耐熱性、耐薬品性に優れ、高温環境下でも使用できますが、加工が難しく、取り扱いには注意が必要です。ステンレス鋼板を中芯に挟んだタイプも一般的です。
PTFEシート: PTFE（テフロン）を基材とするシートガスケット。耐薬品性、クリーン性に優れますが、高温での長期使用や、温度・圧力変動が大きい環境ではクリープに注意が必要です。
PTFEジャケット形: ジョイントシートなどの芯材をPTFEで被覆したガスケット。芯材の柔軟性とPTFEの耐薬品性・クリーン性を兼ね備えています。

2. 硬質ガスケット

セミメタルガスケット: 金属薄板と軟質フィラー材を交互に巻き付けたガスケット。高温・高圧でのシールが可能ですが、高い締付面圧が必要です。うず巻形ガスケットが代表的です。
メタルジャケットガスケット: 無機質の芯材を金属薄板で被覆したガスケット。耐熱性が高く、浸透漏れを防ぎます。銅やステンレスが被覆材としてよく使われます。
カンプロファイルガスケット: 特殊な形状の溝を彫った金属リングに軟質材を貼り合わせたガスケット。再利用可能な点がメリットです。
メタルガスケット: 金属板を打ち抜いたガスケット。銅、ステンレス、アルミなどが使用されます。光輝焼鈍処理によりシール性を高めたものもあります。
メタル中空Oリング: 金属の細管をOリング状に成型したガスケット。高温高圧に耐え、軽量化に貢献しますが、精度の高い加工が必要です。
リングジョイント: 金属をリング状に切削加工したガスケット。高温・高圧、高精度のシールが必要な箇所に用いられます。正確な取り付け技術が必要です。

3. その他ガスケット

マンホールガスケット: 無機質織布にゴムや無機粉末を含浸させたガスケット。柔軟性があり、歪んだ面にも対応できます。
シールテープ: 糸状のシール材で、配管の接続部などに使用されます。
液状ガスケット: コーキング剤のように、既存ガスケットの補強などに使用されます。

ガスケットの用途

ガスケットは、様々な産業分野で使用されています。

石油精製・石油化学プラント: 高温・高圧の流体に対応するガスケットが使用されます。
電力プラント: 高温・高圧の蒸気配管などに使用されます。
製紙プラント: 水や薬品に耐えるガスケットが使用されます。
ビル設備: 配管の接続部などに使用されます。
造船: 船舶の配管などに使用されます。
* 内燃機関: エンジンのシリンダーヘッド、エキゾーストマニホールド、オイルパンなどに使用されます。

ガスケットの選定には、使用環境（温度、圧力、流体）や機械設計などを考慮する必要があります。適切なガスケットを使用することで、機械の信頼性と安全性を確保することができます。

もう一度検索